空き家問題は、多くの自治体がいろいろな企業・団体と連携協定を結んで解決策を打ち出しているものの、再利用を前提とする対策だけでは限界があるのが実情だ。そうした中、クラッソーネは空き家の解体(除却)にフォーカスし、全国のさまざまな自治体と連携協定を結んで解体ソリューションを展開している。同社を創業した川口哲平CEO(最高経営責任者)に、日本の空き家問題の現状と対策について聞いた(取材はリモートで実施)。

クラッソーネ Founder & CEO 川口哲平氏(写真:上野英和)
クラッソーネ Founder & CEO 川口哲平氏(写真:上野英和)

――空き家問題については、多くの自治体がいろいろな企業・団体と連携協定を結んでいますが、クラッソーネは解体に特化している点がユニークです。どのようなきっかけや思いから起業をしたのでしょうか。

 ハウスメーカーで注文住宅の営業をしていたとき、施主には「建て替えに際して古い建物を壊す解体工事会社を自分で探して比較検討したいという」ニーズがあることを知りました。通常は、ハウスメーカーが解体工事会社を指定するのですが、その解体工事金額が妥当かどうか、自分で相見積もりを取って、できるだけ安価に進めたいという思いを多くの施主が抱いていました。

 ただ、当時は解体工事会社をいざ探そうと思っても簡単に探せないという問題がありました。ウェブサイトを持つ解体工事会社は少なく、ウェブサイトがあっても情報が少なくどういう会社かよく分からなかったのです。そこで、解体工事会社を効率的に探すことができる仕組みを提供してはどうかと考え、解体工事会社の一括見積もりに特化したサービスを立ち上げしました。

 いざサービスを始めてみると、建て替えだけでなく、家を手放したい方の相談が予想以上に多く、しかもその比率が年々上がっていきました。「なぜだろう」と思ったとき、必然的に空き家問題につながっていきました。現在は過半数が家を手放したい方による解体です。

人口減の中、利活用だけでは空き家問題の解決はできない

――空き家問題というと移住者とのマッチングやリノベーションによる解決がメディアの話題となりがちですが、現実問題として使い道のない空き家のほうが多いと感じています。起業されて、空き家問題の実情と解体の重要性をどのように感じていますか?

 解体は非常に重要だと感じています。人口減の中で空き家問題を利活用だけで解決するのは限界があります。利活用と解体(除却)をバランスよく組み合わせてまちづくりをしていかないと解決できないと感じています。

 空き家問題という言葉が一般的に使われ出したのは、空き家対策特別措置法(正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」)が制定された2014年からだろうと思います。それにより、空き家の適正な管理、所有者への指導、補助金の交付などが進められました。ただ、当時は空き家の利活用が前面に出ており、リノベーションや古民家の活用といった視点で議論されていました。

 しかし、2021年に国土交通省が住生活基本計画の見直しを行い、少し風向きが変わってきました。人口減の中、リノベーションの市場規模も空き家の流通数も横ばいになり、国としても、空き家の利活用は大事だが並行して除却を進めることも大事との認識になってきたように思います。国全体として10年間で20万件を除却するというKPI(重要業績評価指標)も出され、大きく方針の転換が行われたと認識しています。

――空き家問題の解決のためには解体が重要だという認識が共有されるようになった一方、現実には期待したほど除却が進まない状況にあると思います。空き家の所有者にとって何がネックになっていると思いますか?

 情報収集上のネックと金銭上のネックの2つがあると考えています。

 情報収集上のネックとしては、「どのような手順で空き家の処分を進めればよいのか分からない」「解体にどれくらいの費用がかかるのか分からない」「解体を誰に依頼すればよいのか分からない」といった点が挙げられます。

 金銭上のネックとしては「解体費用が用意できない」「解体すると固定資産税が上がってしまうという金銭的なデメリットがある」といった点が挙げられます。こうしたネックを解消するソリューションの提供や制度上の仕組みが求められていると思います。