北海道日本ハムファイターズが北広島市に建設しているボールパーク「HOKKAIDO BALL PARK F VILLAGE(北海道ボールパーク F ビレッジ)」は、単なる球場の新設ではなく、地元自治体と強力なタッグを組んだ「まちづくり」でもある。ボールパーク建設のキーパーソンである北海道日本ハムファイターズ取締役事業統轄本部長・前沢賢氏へのインタビューの2回目では、球団がつくるまちとはどんなもので、ファイターズはどのような思いで地元と連携しているのかについて聞いた(第1回はこちら)。

――まちづくりは行政の仕事ですし、民間ならばデベロッパーや建設会社がやるものだった。そうしたなかで、ファイターズはスポーツを軸にまちづくりをしようとしています。まちづくりについてスポーツで何ができるのか、あるいは何のためにまちづくりをしようとしているのでしょうか。
スポーツ観戦では、少なくとも年間に数百万人の人が動きます。それをまちづくりに有効活用しない手はない。その人たちをもっと増やせる可能性があるのであれば、さらに拡大していくべきですし、欧米でもそうした事例が見られます。
――そのために、今回はパートナーが北広島市ですが、官と民とがうまく協力することが必要になってくると。
絶対に必要です。巷では「民設民営」と言われ、我々の施設も民設民営で約600億円を投資しますが、民設民営などとは口が裂けても言えない。なぜかと言うと、当然土地だって行政所有のものですし*1、道路などのインフラも北広島市や北海道、北海道開発局が主体となっている。用途地域の問題もあるので、どこにでも球場をつくっていいわけではない。新球場の建設やスタジアムの改革は、行政と一緒にやらなければ、なし得ないと思います。このような環境で100%、民設民営などあるわけがない。それは民間のおごりだと思います。
――都市として出来上がっている東京ならば、今さらまちづくりでもないだろうという考えもあると思うのですが、北広島は事情が異なります。行政と一緒に、自分たちがまちをつくるんだという気概を持って取り組んでいるといったところでしょうか。
北広島市の人はもちろんなのですが、近隣の市町村の皆さんとも、14市町村が参加する連携協議会を組織しています。周辺の人も期待してくれていますし、定期的に会議や勉強会をしているなかで、能動的な関係はできていると思います。
――北広島市だけでなく、近隣市町村との協力関係もできているのですね。
そうですね。意外でした。他の市町村はもっと他人事になるかと思っていたのですが、ボールパークを活用しようという機運を感じました。もちろん、札幌市ともいい協力関係を続けています。