防災拠点のための出費は必要なコスト

――新球場は、地域の防災拠点になるという話も聞きました。

 ええ。基本的には面白い空間をつくるのが目的ですが、せっかくの面白い空間が防災機能を持っていなかったら価値がないと、私は漠然と思っています。

 実は札幌ドームは、2018年の北海道胆振東部地震の際、電力が復旧するのが遅くて、避難場所として使えなかったんです。もし、体制が整っていれば、どこかの体育館に避難するよりも、札幌ドームのフィールドで寝泊まりするほうが絶対よかったはずです。

 そんなことはないに越したことはないのですが、何かがあった時の備えがある施設にしたいと思いましたし、そのための基準をクリアする費用も、必要なコストだと思って取り組んでいます。

――何か特別なものが必要になるのでしょうか。

 24時間、自家発電できる設備が必要だとか、一定の耐震安全性を満たさなければならないといった条件があるのですが*2、それをクリアしようと。普通のスタジアムであれば、ここまでは考えないと思います。

*2 スタジアム(エスコンフィールドHOKKAIDO)は、観光客や帰宅困難者などの一時避難に対応できる広域避難場所に指定され、防災備蓄倉庫を設置する予定。また、エリア内の施設を活用し、災害時における飲食施設の食事提供、宿泊施設の寝具提供など、官民連携によって流動的な災害対応ができるような防災拠点の実現を目指している。エネルギー関連では、スタジアムでESP(エネルギー・サービス・プロバイダー)事業を行う北海道電力が、(1)電源の2回線引き込みによる電力の安定供給、(2)災害に強い中圧ガスコージェネレーションシステムによる電源の供給、(3)軽油による非常用発電機の設置――といったBCP対策を実施する。

――それは市から要請があったということでなく、自分たちからやろうと。

 市や周辺市町村の役にも立ちたいという思いがあったので、自分たちからです。