2004年に東京ドームから札幌ドームへと本拠地を移し、地域密着球団の成功例の筆頭にも挙げられる北海道日本ハムファイターズ。しかし、移転から今シーズンで17年目、その札幌ドームから飛び出すことを決め、隣接する北広島市で理想のボールパーク、「HOKKAIDO BALL PARK F VILLAGE(北海道ボールパーク F ビレッジ)」の建設に動き出した。今春の本格着工を前に、ボールパーク建設のキーパーソンである北海道日本ハムファイターズ取締役事業統轄本部長の前沢賢氏に、ボールパーク建設の経緯や地元自治体との連携について聞いた。2回にわたってお届けする(第2回はこちら)。

北海道日本ハムファイターズの前沢賢・取締役事業統轄本部長(写真:日経BP 総合研究所)

――東京から札幌に移転して、観客動員も大幅に増えるなど大成功を収めたファイターズですが、その札幌ドームを出ることになりました。北広島市に移転を決める前の段階では、札幌市との間に様々な軋轢があったという報道をよく目にしました。

 当初から、札幌市との間に考え方のずれがあったのかもしれません。札幌ドームはもともと、2002年に開催されたサッカーワールドカップのためにつくられたスタジアムで、野球をやることを中心に考えられていなかった。プロ野球の本拠地になるのは「もしかしたら…」といった感じだったのではないかと思います。

――それに対して、北広島市に建設中の「北海道ボールパークFビレッジ」は、野球をメインに考えた天然芝のスタジアムが核になっていますが、そこが大きな違いでしょうか。

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ボールパークの完成イメージパース。核となるスタジアム(エスコンフィールドHOKKAIDO)は天然芝のドーム球場で、切り妻型の屋根が開閉する。建築面積は約5万m2、収容人数は約3万5000人(資料:3点とも北海道日本ハムファイターズ)
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 むしろ、「野球専用のスタジアムと言っているのに、周辺に野球に関係ないものをたくさん置こうとしているよね」とよく言われます。これがチームサイドからなぜ許されているかというと、新球場の立ち上げに関わっている我々が、野球に対して敬意を払っているからなんだと思います。

 もちろん、野球が大好きな人には間違いなく楽しんでもらえる球場だと思っています。しかし、それだけでは先細りになってしまう。少子高齢化の時代ですし、少年野球の競技人口が減っているなかで、野球が好きじゃない人に野球を見るきっかけをつくるという「入り口の拡大」は、野球を生業(なりわい)にしている我々がやるべきことだと思っています。

 そういった意味で、野球を見なくても、好きでなくても楽しめる空間をつくるということを、是が非でもやらないといけない。そしてそれは、自分たちで球場を保有しないとできないことなんだと考えました。

 我々に突きつけられている課題は、マクロ的に見ると2つしかありません。1つは人口減少と少子高齢化。もう1つは、選択肢が増えて人々が多趣味になっていること。これらへの対策をどんどんしていかないといけない。小手先レベルでは流れは変えられないと思いますので、ダイナミックな手を打たざるを得ないというのが結論でした。