少しずつ自分たちが持ち出すことで、結局はみんなが得をする

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――池袋における豊島区のまちづくりについては、どのような見方をしていますか。

 高野(之夫)区長もインタビューで答えているように(関連記事)、都心や新宿・渋谷のような有力なデベロッパーが事業展開を図るエリアではありません。これらの地域では、そのデベロッパーが多くの地権者の意向を踏まえながらその将来像を描き、実現に向け、行政とともに必要なルールづくりにまで乗り出したりします。ところが池袋エリアには、そうした有力なデベロッパーがいなかった。行政として自ら主導するほかなかった。結果として、豊島区のまちづくりによって、池袋は今、従来のイメージが一新され、エリアとして良い方向に進みつつあると感じています。

 民間有識者組織である日本創成会議から2014年5月に「消滅可能性都市」のらく印を押されたのを背景に、子育て世代の女性に焦点を当て政策を打ち始めたのが、的を射たのでしょう。同じ副都心である新宿や渋谷に比べ開発が遅れているが、その分他のエリアの良い部分を取り入れることができる。池袋は駅から住宅地が近いことから、駅周辺の4つの公園を核に(関連記事)、住みやすさや子育てのしやすさを打ち出したことが良かったと言えるでしょう。

――区が主導してまちづくりが進んできた中、サンシャインシティが「まちづくり推進部」を始動して以降、池袋エリア内で商業施設を運営するいくつかの会社でも、まちづくりを担当する部署を立ち上げる動きもみられます。今後、どのような展開を想定されていますか。

 区では2021年秋ごろをめどに、池袋エリアの将来像ビジョンを検討し共有するためのプラットフォームを公民連携で立ち上げる見通しです。先ほど紹介した「IKEBUKURO HANA CIRCLE PROJECT」は、こうした将来における地元企業間での連携を念頭に置き、まずは有志企業での企画連携に乗り出したものだと言ってもいいでしょう。プラットフォームが設立された暁には、私たちとしてエリアマネジメントの事務局機能を担うことを視野に入れています。

――合場社長は、三菱地所時代には大丸有(東京都千代田区の大手町・丸の内・有楽町地区)のまちづくりを手掛け、賑わいのあるエリアに成長させてきました。池袋の場合、また違ったやり方になってくるのでしょうか。

 大丸有のときは、民間企業の地権者70社ほどのコンセンサスを得て、一つの将来像を出していくのに10年くらいかかりました。このときは、「まちづくりでは、少しずつ自分たちが持ち出すことで、結局はみんなが得をするのですよ」ということを、言い続けてきました。

 「結局は得をする」ということを信念をもって言い続け、みんなに理解してもらう――。この考え方は、池袋でも、どこの街でも一緒だと思っています。

合場直人 (あいば・なおと)
サンシャインシティ代表取締役社長
合場直人 (あいば・なおと) 1954年、東京都生まれ。1977年小樽商科大学卒業、三菱地所に入社。「丸の内再構築プロジェクト」などを担当し、大丸有エリアのまちづくりに携わる。同社代表取締役専務執行役員などを経て、2018年より現職。(写真:加藤康)