スマートシティ戦略部を年末までに100人規模の組織に

――これほど順調なシステム開発はあまりありません。スタートアップの選択はもちろんのこと、スマートシティ戦略部に所属する民間から出向してきた技術者の参加が大きな要因だと思いますが、どのようにして4月1日付での出向を実現されたのでしょうか?

 3月に大阪府庁で仕事のレクチャーを受けたときから、スマートシティ戦略部は、民間の発想で仕事ができる組織にしたいと考えていました。短期間で、民間の発想を部内に広げるには民間の人材が必要でした。幸い、お世話になった企業経営者に相談したところ、前向きに社員の府への出向を検討いただき、府も動きましたので実現しました。

 スマートシティ戦略部は年末までに100人規模の組織にする予定ですが、あと10人は民間から出向などで来ていただこうと考えています。100人のうち10数人を民間企業の出身者にする予定です。

 最近、「官民連携」や「公民連携」の重要性がよく言われますが、民間への単なる外部委託になっている例が少なくないようです。スマートシティ戦略部は、官・公と民間がいっしょに働くことで、それぞれが互いを理解して、両方のよいところを発揮しあう組織にしたいと考えています。

――4月22日にはサイボウズとの連携によって「新型コロナウイルス対応状況管理システム」も提供され、新型コロナウイルス感染症患者の健康状態等の把握や、各種情報の集計を効率化も行っています。

 これは4月初め、感染拡大によって医療崩壊が心配されたときにシステムの開発を開始しました。大阪府の新型コロナウイルス対策本部会議では、独自のルールに基づき、症状に応じて感染者を、ホテルなどの宿泊療養施設や病院へ振り分けていますが、その業務をシステムで効率化するのが狙いです(関連記事)。

 感染者の方は、症状に応じてホテルから病院へ、逆に病院からホテルへ移動するとともに、感染者の方が自身の症状をずっと記録する必要があります。

 一人の感染者について、医療機関、保健所、ホテルの宿泊担当スタッフ、ホテルに滞在する看護師、応援に行った大阪府職員、など大勢の方が関わりますが、借り上げたホテルのうち、どこが空いているか、このホテルにいた人がどこの病院へ移ったかといったことは、容易には分かりませんでした。

 そこで、そうした情報をリアルタイムに共有する仕組みを作りました。大阪府でこれまで仕事を依頼してきたIT事業者に協力を打診しましたところ、サイボウズ様に応じていただきました。

 新型コロナウイルス対策に活用するシステムの開発は容易ではありません。開発している間に状況が変わり、完成したころには対策として効果があまり発揮できなくなる恐れがあります。常に先読みしていくことが重要だと考えています。

坪田 知巳(つぼた・ともおき)
大阪府スマートシティ戦略部長/CIO
坪田 知巳(つぼた・ともおき) 1984年4月、日本IBMに入社。2001年7月、第一事業部顧客事業推進部担当部長などを経て、2009年1月、日本IBM 執行役員。2014年1月、常務執行役員 兼 大阪事業所長。2020年4月から大阪府スマートシティ戦略部長/CIO(最高情報統括責任者)。(写真:行友 重治)