地方分権を評価する流れが改めて活発に

 二つめが、「東京一極集中からの脱却」です。新型コロナの影響で東京一極集中についての議論が再燃しています。経済が一極に集中することは必ずしも効率的ではなく、危機に対して脆弱(ぜいじゃく)であることが再認識されました。これからは、地方分権が改めて評価されるようになるでしょう。

 これまでも地方分権は声高に叫ばれてきました。しかし、地方分権を本気で進めようとすれば、地方への権限委譲に伴って自治体の責任が大きくなります。その責任を果たそうとすると、さらなる財源と人材が必要になるので、一筋縄ではいきません。

 ところが今回のコロナ禍で、地方分権にそれほど関心がない、多くの国民は見てしまったのです――。国民の命に関わる、あるいは経済の崩壊につながりかねないほどの危機に直面したとき、政府が重大な政治判断を地方にゆだねたことが何回かありました。そのとき、地方は政府より速く正しく、住民の肌感覚や痛みを理解して決断を下すことができました。

 大阪府が5月に策定した、府独自の基準である「大阪モデル」はその例だと思います。中央政府より地方政府が決定するほうがふさわしい事柄は多くある――。それが国民に見えたことは、ものすごく大きなことです。

 大阪府・大阪市は、日本の東西二極の一つとして、日本の未来を支え、けん引するための「副首都ビジョン」を掲げています。それと相まって、地方分権の大きな流れは、アフターコロナ時代の大阪のスマートシティ戦略における重要な要素になっていくと思います。

あらゆる企業が社会課題の解決に取り組む

 三つめは「公民共同」です。企業がCSR(企業の社会的責任)に取り組むようになって久しいとはいえ、民間企業の奉仕活動による社会課題の解決は、資金力も人材も潤沢にある大手企業にしかできないと思われがちでした。しかし、これからは、あらゆる企業がビジネスとして、社会課題の解決へ自然に取り組むようになると思います。

 大阪府の「コロナ追跡システム」も、スタートアップが社会課題の解決をビジネスにしていこうという動きの一つとしてとらえることができるでしょう。

 ほかにも、電機メーカーのシャープがマスクを製造したり、トヨタ自動車が人工呼吸器を製造したりしています。それぞれ製造ラインを構築しているので、中長期的に採算をとるように取り組んでいるはずです。

 このように、コロナ禍をきっかけに、社会課題の解決と、企業の経済価値の追求を両立させようとするビジネスモデルが多数出てきています。そこで、スマートシティ戦略を推進する我々行政側は、社会課題の解決を経済価値に変えようという信念や哲学を持った企業と積極的に協働したいと思います。

 社会課題は、そのような信念や哲学を持つ企業にとってマーケットのようなものです。我々行政の仕事は、そのマーケットを見える化することで、企業を積極的に呼び込むことであるとも言えます。

「我々行政側は、社会課題の解決を経済価値に変えようという信念や哲学を持った企業と積極的に協働したいと思います」と語る坪田氏(写真:行友 重治)
「我々行政側は、社会課題の解決を経済価値に変えようという信念や哲学を持った企業と積極的に協働したいと思います」と語る坪田氏(写真:行友 重治)