スペースの提供を交流人口の拡大につなげる

――「スペースグッド」は、どういうことをするのでしょうか。

 すでに始まっているのが、廃校や空き家の活用などです。「無印良品の小屋」は、床面積が9m2で工事費を含めて300万円という商品です。台所や浴室、トイレもないのでこれだけでは住めませんが、廃校と結び付ければ給食室やトイレを利用して生活できます。

 廃校の校庭に小屋がいくつも建つことによって、週末に家族や友人とやってくる人たちのコミュニティーが生まれます。さらに、地域の人たちとの交流も始まる。スペースグッドは単に空間の構想を練ってそれを実現するだけでなく、交流人口の拡大を通じた地域活性化の視点を持って活動しています。

 「アンチゴージャス、アンチチープ」をコンセプトとして展開している「MUJI HOTEL」も、顧客をホテルに囲い込むのではなく、地域に開かれたホテルにしたいと思っています。

 その他、新領域の事業としては、フィンランドで今、実証実験を行っている自動運転バス「GACHA(ガチャ)」があります。もともとは車体デザインに関わる形でプロジェクトに参加したのですが、次のステップとして、このバスを公共交通が縮小する過疎地でどう活用していくかといった検討にも関与しています。

フィンランドで2020年の実用化を目指す全天候型自動運転シャトルバス「GACHA(ガチャ)」に車体デザインを提供(写真:良品計画)
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 北欧のフィンランドは日本の寒冷地と気象条件が似ており、ここでの自動運転の知見が将来、日本でも役立つと思います。また、フィンランドは社会実装の方針が非常に先進的なので、彼らの考え方が参考になると思い、参画しました。

東京も「ローカル」の1つ

(写真:北山宏一)
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――豊島区とは包括連携協定を締結していますが、組むのは地方都市とは限らないのですね。

 はい。我々は東京も「ローカル」の1つとして捉えています。

 豊島区では、これまで十分に活用されていなかった中小公園の活性化に協力しています。前述の鴨川のみんなみの里は、あまりうまくいっていない農産物直売所を活性化した例です。どちらも遊休公共施設の活用を目的に行政と関わる点が共通しています。

  新潟県津南町で運営している「無印良品キャンプ場」など、行政と密接に関わってきた例はこれまでにもありました。しかし、行政と包括連携協定を結ぶのは、これまでになかった取り組みです。

 今後目指す方向としては、「住民の生活インフラの整備に我々がどう役に立てるか」という部分でも、行政との関わりを考えていきたいと思っています。GACHAのように自動運転の公共交通もあるでしょうし、本業に近いところでは、公園を対象とした移動販売車のようなものもあるかもしれません。モノの提供だけではなく、例えば子どもや高齢者の「見守り」といったコトの部分も含まれるでしょう。