さらばコピペ、オープンデータの好例も

 オープンデータの2つ目の意義である「行政の高度化・効率化」について、下山氏は「オープンデータを公開すると、公開する側の行政の仕事が増えるのではないかとよく聞かれる」とし、「もしそのような状況なのであれば、そもそもワークフロー自体を見直すべきだ」と指摘した。

 行政効率化の好例として、神戸市の取り組みを紹介した。神戸市はイベント関連の情報をWebフォームで入力・管理し、データはAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で利用できるようにしている。これにより、広報誌への入稿のほか、イベントWebサイトへの掲載、オープンデータとしての公開が可能になったという。

 このようなデータを紙やPDFで管理する自治体は少なくない。紙での管理が非効率なのは言うまでも無いが、電子化していたとしてもPDFの形だと活用の際にコピー&ペーストの手間が発生してしまう。

 APIで利用可能なオープンデータにすることで、同じデータでありながら容易に様々な用途での活用が可能になる。行政効率化におけるポイントの1つは「さらばコピペ」にあると言えそうだ。

データは石油ではなく「新たな土壌」

 3つ目の意義「透明性・信頼の向上」については「官民協働を進める上でとても重要だ」(下山氏)という。「官と民の見るデータに非対称性があると協働ができない。客観的なデータを共有し、同じものを見ながら話すようにしたい」(同)。

 下山氏はオープンデータの専門家として気に入っている言葉があるという。それは「Data is the new soil.(データは新たな土壌である)」だ。

 世界中の様々な場所で新たな社会サービスが生まれ、テクノロジー活用によりすくすくと育つ。そんな社会に向けた土壌の役割をデータが担うという意味だ。「この言葉のように豊かな土壌をつくり、サービスコミュニティーを育てていく必要がある」(下山氏)。

 土壌は大資本に独占されず、精製など複雑な工程が不要だ。環境を汚すこともない。データは石油ではなく、土壌とみるべきだ――。オープンデータ促進の鍵は、データのあるべき姿をとらえ直すところにあるのかもしれない。