「蓄電池・水素」で再エネ導入増やす

 こうしたなか、市では2018年に再エネのさらなる導入を実現するビジョンを策定した。その方策として、島内に蓄電池の設置を増やして需給バランスを維持したり、再エネの余剰電力で水素を製造して貯めておき、燃料電池で発電することで需要を平準化するシステムなどにより、さらに再エネを増やす構想を掲げた。

 このビジョンに沿う形で、2016年7月から2017年2月にかけ、ソフトバンクグループで再エネ事業を手掛けるSBエナジー(東京都港区)が、島内で蓄電池による「バーチャルパワープラント(VPP=仮想発電所)」を構築・運用する実証事業を実施した。

 また、壱岐市と東京大学先端科学技術研究センターは2020年2月、再エネの導入拡大・活用、脱炭素・水素社会の実現、持続可能なまちづくりなどを目的とした連携協定を締結した。両者は今後、水素貯蔵を活用したエネルギーマネジメント実証実験に取り組む(図2)。

図2●壱岐市と東京大学先端科学技術研究センターは再エネの導入拡大、脱炭素・水素社会の実現などで連携協定を締結
図2●壱岐市と東京大学先端科学技術研究センターは再エネの導入拡大、脱炭素・水素社会の実現などで連携協定を締結
(出所:東京大学先端科学技術研究センター)
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 具体的には、島内の電力需要施設に大規模な太陽光発電システムを併設して自家消費しつつ、余剰電力で水を電気分解して水素としてタンクに貯蔵しておき、必要な時に燃料電池で発電して、需給バランスを維持する、という仕組みを実証する。

 プロジェクトは、東京大学の杉山正和教授が全体を取りまとめる。同教授は、次世代型太陽電池や再エネ大量導入を実現するエネルギー貯蔵システムなどを研究している。また、太陽光発電や水素製造などのシステム構築では、IT関連・再エネ管理システムなどを手掛けるエーディエス(千葉県柏市)、燃料電池や水電解など水素関連装置ではエノア(愛知県豊田市)が担っている。