行動原理の違いが協働を生む

――認知症の高齢者も参加していますね。

 福祉公社時代に、こんなエピソードを経験しました。認知症の高齢者が家からお弁当を持ってきたのですが、食べるのを忘れてしまった。隣にいた車イスの高齢者がそれに気づいて、教えていました。ここでは誰一人受け身にはしません。特別扱いの必要はなくてそばにいればいい。そして一日に一言でいいから声をかけることができれば、認知症の症状は改善するのです。

――支え合いの仕組みの普及にも携わっています。

 ええ。新潟市や地域の公民館と共催して、これから地域の茶の間を立ち上げたい人や既に運営している人向けのセミナーを開催し、私が講師を務めています。うちでサポート役をしている「お当番さん」も含め、その開設や運営のノウハウなどをお知らせしています。

 2018年秋には、ここに「お互い様・新潟」という組織の事務所も設けました。有償での助け合い経験者をコアメンバーとして、市内各区で助け合いの普及を図っていますが、その連絡や調整を担うためのものです。

助け合いの普及を図る「お互いさま・新潟」の事務局もこの民家に置かれている(写真:加藤康)
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――生活支援・介護予防分野での公民協働のポイントは何でしょう。

 住民と行政では組織が違います。いうまでもなく自治体は首長を頂点とするピラミッド型ですが、住民は百人百様の参加動機に基づいて自由に動き回る存在。行政が重視する「公平・平等」にとらわれず、「自分の心」を大事にして動けばいいので、ここにこそ協働が成り立つわけです。併せてお金を払って助け合いを利用する住民の方には、料金は謝礼であって労働の対価ではなく、指揮・命令できるものではないという考え方をしっかり持ってほしいと思います。

河田珪子(かわだ・けいこ)
「実家の茶の間」代表
新潟県生まれ。大阪で特別養護老人ホームに勤務した後、1989年に義父母の介護のため新潟に帰郷。1990年有償助け合い「まごころヘルプ」を開始。1997年、任意団体「実家の茶の間」を立ち上げ、地域の中で助け合いを育み、誰でも来られる居場所づくりを手がける。2003~2013年にかけて宿泊も可能な常設型の地域の茶の間を運営。2014年に新潟市と協働協定を結び基幹型地域包括ケア推進モデルハウス「実家の茶の間・紫竹」をオープン。介護福祉士、社会福祉主事任用資格。