さるぼぼコインの利用率は、当初目標10%を達成

 ただ、こうしたメリットが本当に価値を生むには、さるぼぼコインの普及率が高くなければならない。さるぼぼコインの現状は、どうなのか――。数字から見ていこう。

飛騨信用組合 常勤理事 総務部長の古里圭史氏(写真:日経BP総研)
飛騨信用組合 常勤理事 総務部長の古里圭史氏(写真:日経BP総研)
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 2019年12月時点において、さるぼぼコインを利用できるようになっている地元店舗は約1200店。これは、対象とする店舗全体の16~17%に相当する。さるぼぼアプリの利用者は約1万人。うち地元の利用者は約9000人であり、これは高齢者や子供を除いた利用対象者全体のうち、12~13%に相当する。累計チャージ額は10億円を突破している。

 こうした状況について、さるぼぼコインのプロジェクトリーダーである、飛騨信用組合 常勤理事 総務部長の古里圭史氏は、「まだまだこれからではあるが、当初目標の10%(加盟店数、利用者数ともに)を、計画よりも早く達成できた」と振り返る。

 市民の関心も高まっている。「以前はこちらから説明して回ったが、最近、『どうして案内してくれないんだ』といった声も聞くようになり、潮目が変わったと感じる」(古里氏)と、普及への手ごたえを語る。

 では、利用者の中心はどんな人なのか――。「若い人の利用を想定していたが、意外なことに、50代から60代の女性が全体の4割を占め、コアな利用者になっている」(古里氏)という。利用場面で最も多いのは、地元のスーパーマーケットでの買い物で、顧客の4~5%の人がさるぼぼコインを利用している。

 さるぼぼコインは、地域内での市民利用に加え、観光客に使ってもらうことも、もう1つの大きな狙いだ。

 飛騨信用組合は、さるぼぼコインについて、「観光客から流入するお金を地域内で回す、地域経済の活性化のためのプラットフォーム」としても位置づけている。高山市における観光客数は、年間約440万人、うち外国人宿泊数は約55万人に上る。彼らにさるぼぼコインを使ってもらおうというわけだ。

飛騨信用組合の支店が入ったスーパーマーケット内に設置しているチャージ機(写真:日経BP総研)
飛騨信用組合の支店が入ったスーパーマーケット内に設置しているチャージ機(写真:日経BP総研)

 いわば、“お金の地産地消”。ただし、他地域に本部を置くフランチャイズは加盟店として対象にしていない。金額のチャージには飛騨信用組合の口座からか、飛騨信用組合の本支店窓口、地元商業施設に置くチャージ機などからしかできない。また、アプリを使ってキャッシュカードからお金を移動できないなど、利用者にとって不便な点はどうしても残る。

 利便性やキャッシュバックなどの面で見ると、同じQRコード決済としてPayPayやLINE Payに負けてしまう中、さるぼぼコインを普及させるには「地域経済の発展に寄与するといった市民のメンタリティや、利用者のワクワク感が重要になる」(古里氏)。これらに対する様々な施策を現在検討中だ。