SDGs(持続可能な開発目標)達成に取り組む自治体が増える中、その事業資金の調達法として、使い道となるSDGs事業を明示した債券(SDGs債)を発行する自治体が増加している。先鞭をつけたのは、2017年度から東京グリーンボンドを起債している東京都。2021年度は、川崎市、北九州市、神戸市が取り扱いを始め、三重県、福岡市、名古屋市などもこれに続く見込みだ。“自治体SDGs債”拡大の背景と、活用のポイントを追った。

拡大する自治体SDGs債

 公的事業資金の新たな調達法として、SDGs債を活用する自治体が増えている。債券を発行するのは都道府県や市区町村。使い道となるSDGs事業を明示して民間から投資を募り、集めた資金を当該事業に充てるのが基本的な仕組みだ(図表1)。

 SDGs債は資金の使途に応じて、①グリーンボンド(環境債)、②ソーシャルボンド(社会貢献債)、③サステナビリティボンド(持続可能債)――の3つに大別される。①のグリーンボンドは、主に地球温暖化対策や太陽光発電、再生可能エネルギーなどの環境系事業を対象としたもの。これに対し、②のソーシャルボンドは子育てや介護支援、地方創生、災害復興といった社会問題の解決を目的とした事業資金となる。そして、環境系事業、社会問題解決事業の双方を対象にするのが③のサステナビリティボンドだ。

■図表1 自治体SDGs債の仕組み(イメージ)
■図表1 自治体SDGs債の仕組み(イメージ)
(出所:日本証券業協会の資料などをもとに作成)
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 図表2に、SDGs債を発行する主な自治体と起債の概要をまとめた。2021年度は新たに、東京都がソーシャルボンド、三重県がグリーンボンド、北九州市がサステナビリティボンドの発行に乗り出した。また、使途は限定していないが、神戸市は2021年度に発行する全市債(1500億円)を「神戸市SDGs債」として起債し、第5次神戸市基本計画などを踏まえて策定した5カ年のアクションプラン「神戸2025ビジョン」の実現に向けた事業などに充てる。自治体SDGs債は、機関投資家を対象としたものが多いが、北九州市は個人向けも発行している(この他、東京都が発行するグリーンボンドにも個人向けがある)。

 日本証券業協会の調査によると、企業を含めた国内のグリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドの3種合計の発行額は2020年に過去最高の2兆1339億円(前年比76%増)を記録しており、2021年も9月末までで既に1兆7004億円に達している。

■図表2 SDGs債を発行する主な自治体と概要
■図表2 SDGs債を発行する主な自治体と概要
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