事業者にメリットある「1億円」を基準に包括管理委託の範囲を拡大

  北西地区の道路等包括管理事業は、2018~2020年度の3年間を事業期間とする。契約金額は包括委託型業務に関して年間9720万円(税込)だ。包括委託型業務に含まれるのは、道路、橋梁、ペデストリアンデッキ、街路樹、標識、道路反射鏡(カーブミラー)、法定外公共物などの清掃、軽微な補修、区域内の巡回、剪定などである。街路灯に関しては、ESCO事業の対象としたため、この事業の対象からは外れている。

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今回の道路等包括管理事業(北西地区)受託者の業務範囲(図:府中市)
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けやき並木通りの歩道を補修する様子(写真:府中市)

  包括委託型業務の契約金額は、約1億円となるよう、対象区域(市全域の約4分の1・約755ha)を逆算で設定した。どの程度の事業規模ならスケールメリットが出るのか、市が事業者から意見を聞いて検討し、1億円を基準としたものだ。

  単価契約型業務として包括委託とは別途計上するものもある。軽微でない(1工種50万円以上の)補修・更新業務(約1378万円)や、国の天然記念物に指定されているけやき並木通りのケヤキの剪定(約2600万円)だ。

  ここでいう補修・更新業務には、予防保全的に対応する場合の補修・更新にかかわる500万円未満の業務も含める。「例えば、道路の舗装がはがれた際に、その個所だけ補修するのではなく、契約期間内で補修が必要になりそうな周辺のほかの個所も含め、ある程度まとめて対応するほうが効率的なケースがある。今後、そうした予防保全的な提案が事業者から出てくることに期待している」(小林氏)。

サービス向上が課題、事業者の「自ら判断」が重要に

  事業目的であるサービス向上とコスト削減のうち、コスト削減効果は市が直接、道路を維持管理した場合と比べ、約2.1%である。ただし、市が管理した場合の担当職員の人件費を比較対象に加えていないため、実際にはもう少し効果が大きいものと思われる。

  サービス向上は道半ばの状況だ。今回の試行的事業第2弾を開始する前年の2017年度に比べて、苦情は減っていないという。例えば「雑草で道が荒れている」という苦情が寄せられた。除草が行き届いているかどうかは、一般市民の目につきやすい。苦情が減ったかどうかで、管理の質の向上を最も分かりやすく見ることができる部分だ。草の生長具合は毎年の雨の降り方次第で変わるため、コストと利用者満足の兼ね合いをみて除草のタイミングを計るには、経験やノウハウが必要になってくる。

  「道路の維持管理は一般に、行政が時機を判断して発注する。事業者が自ら判断する部分は少ないので、こうした包括管理事業を始めれば、最初の年に苦情が多少増える可能性があることは予期していた。このため、市から事業者へ、気づいた点を随時フィードバックし、定例会議でも問題点は共有している。今後は苦情が減るように、市としても事業者をバックアップしたい。サービスが向上しなければ、包括委託をする意義を問われることにもなってくる」(小林氏)。

  なお、除草の遅れについては、「ちょうど事業者が発注をかけようとした時に台風に見舞われたために、(台風被害の対応が先になり)除草を延期せざるをえなかった」という不運な事情もあったという。

  そのほか、契約では、道路が機能不全に陥ったり、利用者に支障をきたすことがないよう、市はモニタリングを行って改善を要求したり、状況によっては支払額の減額につながる罰則点を付けたりしている。罰則点は累積され、年度末の累計点数でその年の減額率が決まる。30点未満なら減額は0%、60点以上なら減額率は4%以上になる。例えば書類の遅延などは罰則点1点だが、管理不十分で安全性に支障をきたして重傷者が出た場合などは、その1件だけで30点が加算されるといった具合だ。