県全域からアクセスしやすい石和温泉に

 現在、施設利用料は、1泊2食の基本料金が3万3900円で、利用者の負担額はこのうち約2割の6100円。県と、利用者が住む市町村がそれぞれ1万3900円ずつを補助する。なお、県外からも、補助なしの正規料金を支払えば利用可能で、実際にそうした例もあるという。

 施設の立地として、県内全域からアクセスしやすいといった理由で白羽の矢が立ったのが、県央にある石和温泉(笛吹市石和町)の県有地。「山梨は県の形が縦長でも横長でもなく、地理的な中心が取りやすかったことと、独自に宿泊型ケア施設を持てる規模の都市がなかったことが、この事業では幸いし、全市町村からの補助を取り付けることができた」(古屋総括課長補佐)。

事業の実施体制。県内全市町村が利用者数に応じてコストを負担する(資料:山梨県)
事業の実施体制。県内全市町村が利用者数に応じてコストを負担する(資料:山梨県)
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山梨県の中央部に立地している(資料:山梨県)
山梨県の中央部に立地している(資料:山梨県)
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 この県有地には、以前は県立の温泉宿泊施設「かえで荘」が建っており、2006年からは指定管理者が運営してきたが、建物の老朽化などを受けて、2013年度末で閉鎖していた。県は建物を解体した上で民間事業者のプロポーザルを公募し、選ばれた事業者に土地を貸与して、設計・建設・運営などを任せる形での施設設置・運営を目指した。

 公募で選定されたのが、理学療法士や作業療法士を育成し、2016年4月には看護学部も設置した山梨県内の健康科学大学だ。2016年1月に「産前産後ケアセンター ママの里」を開設。宿泊型ケアは同年2月15日から開始した。なお、このセンターは児童福祉施設に準ずるが、旅館業・宿泊業として営業許可を取得している。

 土地はかえで荘跡地の約4600m2のうち、約2400m2に、30年間の定期借地権を設定した。山梨県が民間企業との間で定期借地権契約を結ぶのは、この事業が初めてという。施設整備費は県が2分の1を補助する方針で、補助対象上限額を1億4000万円としていた。実際には、健康科学大学は1億4000万円を超える投資で施設を整備し、県から7000万円の補助を受けた(借地料は非公開)。