今後は大学と連携した自主事業を実施・拡大も

産前産後ケアセンターの榊原センター長(写真:編集部)
産前産後ケアセンターの榊原センター長(写真:編集部)
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 2016年2月にスタートした滞在型ケアの利用者数は、開始から11月末までの実績で138組338泊。1人目の子を出産した30歳代の人が多い。利用者のエリアは狙い通り県内各所にちらばっているという。

 ただ、県と大学は共に、利用者数と利用者の宿泊日数をもう少し増やしたいと考えているという。3~4日ほど滞在してもらえれば、お母さんのケアも十分なことができるし、経営も安定するからだ。そこで、テレビや雑誌といった外部メディアのほか、県の広報誌、市町村での出産届け出のタイミングでの資料配布、センターが地域に出張してのPRイベントなどを通じ、認知度の向上を図っている。開設当初は1泊2日での利用がほとんどだったが、徐々に2泊、3泊の利用者が増えてきているという。

 電話相談サービスの利用状況は11月末までで1519件(月平均144件程度)。こちらも増加傾向で、この電話相談から宿泊利用につながることもあるという。

 施設の名称にある「産前」のケアは自主事業として行っている。妊婦向けの健康教室や個別相談、「プレパパママ教室」、施設を利用した母親と妊婦の交流会などを実施している。「実際に出産後にここを利用しなくても、何かあったときにここがあると知ってもらうだけでもかなり不安の軽減になるのではないか」(榊原センター長)。

 そのほか、自主事業として、母乳ケアやベビーマッサージなどの教室、母親同士の交流会、日帰り型のケアなども実施している。日帰り型ケアには基本的に県や市町村の補助がないものの、南アルプス市のみ、利用料1万3000円のうち1万円を補助しているため、同市民の利用が多いという。

 センターは大きく利益の出る事業ではないという。「現時点では採算は厳しいが、利用率や利用者の満足度を高めることを第一にし、5年後をメドに黒字化できたら」と榊原センター長。事業者として手を挙げた理由としては、「地域貢献や、そのことを知っていただくことで学生を増やしたいということがあった。また産後ケアの事業そのものが大事なものでありシステム化が必要という認識もあった」(榊原センター長)と語る。

 今後は、健康科学大学から理学療法や作業療法、臨床心理などの専門家を招いた各種教室やカウンセリングなどの事業も計画していく。