自治体が書店を運営?――新しい公共サービスとして話題になった八戸ブックセンター(青森県八戸市)は、開業から2年を経たて来館者数は1日平均約470人と、目標にしていた300人を大きく上回る来館者を集めている。民間の書店やカフェなどとの共同の取り組みも進む。

 市の中心街に2016年12月に開業した八戸ブックセンターは、小林眞・八戸市長が掲げてきた政策公約「本のまち八戸」の中核となる施設だ(関連記事:小林市長インタビュー)。

八戸ブックセンターの入り口(写真:井上 健)
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 陳列してある書籍を販売する「書店」ではあるが、八戸ブックセンターは、そこで利益を上げることが目的ではない。実際、年間売上は1600万円なのに対し、人件費を含めた経費は9800万円だ(いずれも2018年度予算ベース)。また、八戸ブックセンターが掲げるミッションには「これまで手に触れる機会が少なかった本に出会える場の創出という、本に関する新たな公共サービスを提供する」とある。

 市の職員(八戸市まちづくり文化スポーツ部まちづくり文化推進室)で、八戸ブックセンター所長を務める音喜多信嗣氏は「子供向けの<本のまち>に向けた施策としては、乳幼児(生後90日~1歳未満)とその保護者を対象として絵本をプレゼントする『ブックスタート事業』などがある。ここは大人を主な対象とした事業となる」と八戸ブックセンターの位置付けを説明する。

ユニークな分類の書棚が並ぶ八戸ブックセンター(写真:井上 健)
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「本のまち八戸」における八戸ブックセンターの位置付け(資料:八戸市)
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八戸ブックセンター所長の音喜多信嗣氏(写真:井上 健)
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 来館者はここにきて上昇基調だ。当初見込んでいた数字は300人/日。この数値を割り込んでいた時期もあったが、2018年7月に「八戸まちなか広場」(マチニワ)が隣にオープンしてから上昇基調となっている。「オープン当初は月に2万人もの人が訪れた。これだとゆっくりできないので、現在の月に1万人程度の来館者数を維持しながら、企画内容をステップアップしていきたい」(音喜多氏)。

八戸ブックセンターが入っている中心市街地の再開発ビル(写真:井上 健)
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来館者数の推移。当初見込んでいた300人/日を割り込んでいた時期もあったが、2018年7月に隣接して「八戸まちなか広場」(マチニワ)がオープンして上昇基調となっている(資料:八戸市)
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 八戸ブックセンター開設による効果は、市民が本に触れる機会が増えたことだけではなさそうだ。来館者へのアンケート調査の結果から、「置いてあるアンケート用紙を自由に手に取って答えてもらう形式で、これまでに約400の回答があった。このうち市外からの来訪者は約半数。こうした形でのアンケートは、(日常的に何度も訪れる)市民の回答率は低いとも考えられるが、それでも市外から来る人はかなり多いのではないか。第一の目的ではないが、八戸ブックセンターは観光スポット的な存在にもなっている。本のまちのPRにつながるので、よいことではないかと考えている」と音喜多所長は語る。