オンラインとスクーリングで授業を実施する広域制通信高校として、2016年沖縄県うるま市伊計島に廃校を活用して開校した角川ドワンゴ学園N高等学校(以下、N高)。約1500人からスタートしたN高であるが、ここ数年で生徒の数が約1万5000人を超え、収容定員の上限と同高が考える2万人に達する見込みとなった。そこで角川ドワンゴ学園では、2021年4月新たに茨城県つくば市に2校目となるS高等学校(以下、S高)を開校した。コロナ禍の中、その人気はさらに増しているという。

 2021年4月に茨城県つくば市で開校したS高は、学校法人角川ドワンゴ学園が運営する広域制通信高校だ。つくば市の「筑波西中学校」跡地で旧校舎をリノベーションして本校舎として活用している。ネットでの教育を中心としながらも、沖縄県うるま市で2016年4月に開校したN高同様、課外活動には地域の特色を活かすなど地元との関係を重視していく方針だ。S高開校から半年余り。コロナ禍の影響下で、どのように地域や行政との連携を進めているのだろうか。

S高の本校舎。筑波山のふもとに位置し、旧筑波西中学校の校舎をリノベして使用している。屋上には天体観測ドームを備えるが現在使用していない。グラウンドは全面天然芝で地域の女子サッカーチームが拠点として練習に使用(写真:渡辺和博)
S高の本校舎。筑波山のふもとに位置し、旧筑波西中学校の校舎をリノベして使用している。屋上には天体観測ドームを備えるが現在使用していない。グラウンドは全面天然芝で地域の女子サッカーチームが拠点として練習に使用(写真:渡辺和博)
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外見は古いが高速のインターネット回線を持ち教室などの設備は最新だ(写真:渡辺和博)
外見は古いが高速のインターネット回線を持ち教室などの設備は最新だ(写真:渡辺和博)
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廃校活用の広域制通信高校に2万人以上が在籍

 その前にまず、運営主体となる学校法人角川ドワンゴ学園の概要を説明しておこう。角川ドワンゴ学園はドワンゴとKADOKAWAの経営統合を機に、「個人のスキルを重視した新しい学びの場としてのネットの高校」という考えからスタートした。インターネットと通信制高校の制度を活用し、パソコン・スマートフォン・タブレットを利用して自分のペースで高校卒業資格のための勉強ができる単位制・通信制(広域通信制)の高校で、全日制と同じ「高校卒業資格」を取得することができる。2校合わせて2万人以上の生徒が在籍している。

N高とS高の公式サイト
N高とS高の公式サイト

 学園の理事には、現在ドワンゴやKADOKAWAなど多くの会社の社長や役員を務める夏野剛氏やスタジオジブリの鈴木敏夫氏、アドバイザリーボードには古市憲寿氏など、著名人が名を連ねている。また、N高はスノーボードの平野優音氏やフィギュアスケートの紀平梨花氏、国際的なプログラミングコンテストでの受賞者が在籍/卒業していることでも知られる。

 N高、S高ともコンセプトや学習プログラムは同じで、2年次に参加する「本校スクーリング」の場所が異なることくらいだという。都合に合わせネットで学習できるネットコース、ライフスタイルに合わせて学習スタイルが選べる通学コース、好きな場所からネットの学び場に集うオンライン通学コース、プログラミング学習に特化した通学プログラミングコースの4つがあり、卒業生の進路も多様だ。なお、2021年3月、進学率および就職率の分類方法について批判的な報道を受け、表記の訂正などを行う旨を発表している。

 通学できるキャンパスは札幌、代々木、横浜、名古屋、梅田、広島、福岡など全国に19カ所。2022年4月からはさらに全国33キャンパスに拡大する。どのコースを選択しても1年次と3年次は、全国のスクーリング会場で、2年次には在籍する本校で課外授業や体育などのスクーリングに参加することが必須となっている。

 こうした学習スタイルやカリキュラムなどが人気を呼び、N高、S高の2校合わせて2万人以上の生徒が在籍している。