施設開業前から駅前広場でイベントを開催

 2019年6月、岡野氏が設立したENTOは市と駅前広場・駅舎活用の協定を締結する。2カ月後の19年8月11日には、最初の大規模イベントを開催した。地元製氷会社・九州コクボの氷を使って飲食店が様々なかき氷を提供する「ロックアイスフェス」だ。この中で、高校生たちもチャレンジショップやイベントに取り組んだ。日田市も広報に協力し、小中学校にもチラシを配布した結果、約3500人の集客を記録した。

 「ロックアイスフェス」開催の半月後からは、毎週木曜日に「駅前夜市」を開催。週末には「駅前マルシェ」や「駅前ヨガ」などを行い、19年12月には地元商店街と連携してクリスマスマーケットも開いた。この時も約1000人を集客、商品は完売だったという。

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2019年8月11日に広場で開催された「ロックアイスフェス」の様子。日田の資源である「水」でつくられた氷を活用して暑い夏を楽しむイベントだ(写真提供:2点ともENTO)
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2019年12月の週末に開催したクリスマスマーケットの様子(写真提供:ENTO)
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 駅前広場の活用が進む一方で、駅舎2階の改修は難航した。公募の際、市は「原則として2019年度中、できれば9月開催のラグビーワールドカップ前の開業を期待する」としていたが、着工は19年12月までずれこんだ。その原因を、岡野氏は次のように振り返る。「提案段階で想定していた配管・配線は、実際には老朽化で使えなかった。また、線路に面した駅舎という特殊性による避難経路の課題、さらには安全性確保のため、どの程度まで建物に手を加えてよいか、JR九州との協議にも予想以上の時間がかかった」

 キッチンの配置や避難経路など設計変更はあったが「壁などは位置もそのままに、できるだけ既存のものを利用した」と岡野氏。前述のNINAUでの活動を通じて地元企業と関係を深めていたこともあり、工務店や家具組合が積極的に協力してくれたという。協同組合日田家具工業会の若手で構成する「日田家具衆(ひたかぐら)」が一部の家具を無償貸与、またJR九州も内装費用の一部を提供した。最終的に、ENTOが改修に投じた資金は1500万円だった。

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ゲストハウス部分。左上写真の左手前は、2段ベッドで定員4人のドミトリー。その奥に右上写真のツインルームがある。エキストラベッドも入れて通常の定員は7人。「大学生のフィールドワークなどで、ラウンジでの雑魚寝も含め、10人ぐらいで貸し切るような用途も想定した」と岡野氏。左上写真中央と下写真はゲストハウスのラウンジ。宿泊客のチェックアウト後の時間帯は、コワーキングスペースとして使用する。宿泊はサブスクリプションのADDressと連携、コワーキングスペースは予約・決済アプリを提供する九州アイランドワークと提携している(写真:3点とも萩原詩子)
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