「どこまで親身になれるか」を追求した「パーマネントスタッフ」制度

 さらに、IT企業の誘致に効果的だった県独自の制度がある。それは、2004年にスタートした「企業誘致パーマネントスタッフ制度」と呼ばれるものだ。この制度は、佐賀県に進出を決めた企業が希望をすれば、誘致の際に担当した職員が、たとえ部署が異動になったとしても、ずっとその企業の窓口を担当するというものだ。

 進出企業にとってみれば、地元企業ではない限り土地勘のない場所に進出を決めることは一仕事だ。ただ、実は本当のスタートはそこからで、実際にはその地でビジネスを確実に進め、さらには成長させていかなくてはならない。一方で、どの規模の自治体でも、職員が定期的に異動する人事制度が当たり前だ。担当者が途中で変わってしまい「誘致の際には大事にされたけれど、進出した後は対応がおざなりになった」という声も実際にあるという。パーマネントスタッフ制度は、このような問題が起きにくい。顔なじみになって連絡もしやすい間柄になっていることで、常に親身になった対応できるからだ。

 実際に佐賀県では、パーマネントスタッフの主な業務を、

  1. 誘致企業の本社、県内事業所を訪問し、県の最新情報を提供するとともに、問題、要望等を聞く
  2. いつでも県の担当窓口として、誘致企業の照会や要望を受け付け、迅速にその時点での企業誘致担当部署へ連絡し、その後、早急に回答・対応するよう支援、調整を行う
  3. 進出後の手続き、調整等における県庁内関係部署との意見交換・交渉の場では、誘致企業の立場で同席する
  4. 誘致企業の本社、県内事務所の関係者の方が県庁を訪問される際の立会や県内視察の手伝いをする

 と定めている。指名を受けた職員が、自分事として進出企業のサポートを行うというところがポイントとなる。

 パーマネントスタッフ制度が2004年にスタートしてすでに16年が経過しているが、この制度を利用している進出企業はすでに100社近くになっている。IT企業のためだけの制度ではないが、2018年度以降でいえば、同制度を利用している12社のうち、IT企業は10社を占めている。

 例えば、ゲームの企画・開発・運営事業を展開するCygames(東京都渋谷区)は2017年に佐賀市に進出し、業務拡大に伴い2020年に鉄骨5階建てのCygames佐賀ビルを竣工、デバッグ業務とデザイン業務を行っているが、進出を決めてからは県の職員と二人三脚で佐賀県での業務をスタートさせた。また、自動野菜収穫ロボットを開発するinaho(神奈川県鎌倉市)は2019年1月に佐賀県鹿島市と進出協定を締結。同年9月に佐賀県太良町のアスパラガス農家にロボットを導入して正式サービスを開始したが、12月にはさらに佐賀市とも進出協定を締結。やはりパーマネントスタッフ制度によって窓口となる担当の職員を任命し、その職員と共に佐賀県での事業を拡大している。