誘致を後押しする佐賀県産業スマート化センター

 佐賀県がIT企業の誘致に成功しているもう1つの武器といえるのが、「佐賀県産業スマート化センター」の存在だ。佐賀県産業スマート化センターは、AIやIoTといった先進技術を活用し、県内企業の生産性向上やこれらを活用した新たなビジネス創出を促すために佐賀県が2018年10月に開設した。課題を持っている県内企業に対して、先端技術をフックにして解決できるように、IT企業や大学・教育機関などを結びつけるハブとしての役割を担っている。

佐賀県産業スマート化センターのショールーム(写真提供:佐賀県)
佐賀県産業スマート化センターのショールーム(写真提供:佐賀県)
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 同センターの大きな目的は、上記のように地元企業のITの底上げにあるが、佐賀県に進出を検討する企業にまずは同センターを見学してもらうことも多い。同センターでは、AIやIoTといった先進技術が体験できるほか、人材育成を目的とした各種のワークショップを定期的に開催したり、県内企業とIT企業とのマッチング、導入支援を行ったりしている。こういった佐賀県の取り組みを見ることで、「新しいチャレンジに意欲的な県である」ということを肌で感じてもらうことができるわけだ。

 また、同センターの趣旨に賛同できる県内外のIT企業には「サポーティングカンパニー」として登録してもらい、産業スマート化センターの各種活動に協力してもらうという体制も整えている。具体的な課題を持つ県内企業に対して、サポーティングカンパニーの中から適切な企業をマッチングし、具体的にビジネスに発展するケースもある。進出を検討している企業としては、まずはサポーティングカンパニーとして登録し、そこで具体的なニーズがどれほどあるかを探ることも可能になる。

 佐賀県としては、同センターの施策の成果を図る指標として、地元企業がサポーティングカンパニーと実際に一緒になって取り組んだ、「新たなAI・IoTといった先進技術導入の取組件数」を設定しており、2019年は25件、2020年は40件といった数としていた。この目標件数は順調にクリアしており、さらに2021年は50件、2022年は70件の設定をしている。こういった推移を見る限りは、佐賀県でも多くの案件が発生していることが予測でき、企業にとっては進出を考える目安になるともいえる。

 佐賀県に限ったことではないが、地方においては大規模な展示会などが少なく、県内企業がITソリューションに触れる機会は限られる。このことから、広くソリューションを持つ企業などに協力してもらい、さらには県内に呼び込む意図もあってサポーティングカンパニーを広く募集した。サポーティングカンパニーは順調に増え、現在では海外企業も含め170社(2021年1月25日現在)となっている。佐賀県の目論見は達成できているといえそうだ。