東京都東村山市は、職員の満足度や生産性向上を目指す環境デザインを施した厚生室(職員が休憩などに使うスペース)を、大和リースと連携して本庁舎2階に整備した。市は同社から空間デザインのノウハウや家具類などの提供を受け、市職員のリラックス度などを数値化する実証実験に協力している。

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リニューアル後の厚生室とヴェルデニアの説明パネル(写真:日経BP)
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 東村山市は、本庁舎2階の第一厚生室、休憩室、旧喫煙室、倉庫の壁を取り払い、一体的なリノベーションを2019年12月に実施。禁煙の厚生室として整備した。面積は約80m2。室内には、大和リースの空間サービス「ヴェルデニア(VERDENIA)」を導入している。ヴェルデニアとは、室内緑化、自然音、アロマ、木製家具などを複合的に組み合わせて人間の五感に訴えかけることによって、オフィスワーカーのストレス低減やコミュニケーション促進などに効果のある空間を提案・提供するサービスだ。

 新しい厚生室の内装工事は、東村山市が自らの予算で施工した。改修費用は1155万円(税込み)。大和リースは、空間デザインや機能面での助言を行うと同時に、ヴェルデニアによる実証実験のための家具、音響設備、アロマ、植栽などを設置完了から1年間、2020年12月まで無償で提供する。実証実験では、職員の心拍数などの計測やアンケート調査などを行い、厚生室の空間が職員のリラックス度などに与えた影響を評価する。市職員は2019年12月23日から厚生室の利用を始めた。実証実験は2020年1月からスタートさせている。実証実験の期間は2021年3月31日までだ。

 以前の本庁舎2階の厚生室エリアは、喫煙室のたばこ臭や、室内があまりきれいでないなどの要因から、一部職員にしか利用されていないという実態があったという。さらに、健康増進法や受動喫煙対策の観点から、市として庁舎内各所にあった喫煙室撤去の方針が打ち出されたことを機に、働き方改革に資するワークプレイス環境の整備が検討された。そして、厚生室のリノベーションが行われることになった。

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リニューアル前の様子。左上から、第一厚生室、休憩室、給湯室、喫煙室(写真:東村山市)

 一方、大和リースはヴェルデニアの効果について、より客観的な検証の場がほしいと考えていた。大和リース執行役員で本社緑化事業部の千田文二郎事業部長は「これまでもヴェルデニアの効果検証を行ってきたが、自社や関連企業の社員を対象としたものが多かった。今回、行政機関との連携による実証を行うことで、(リラックスなどの効果について)より客観的な結果だと評価してもらいやすくなるのではないか」と語る。

部署横断で課題を洗い出し、厚生室に反映

2019年12月に行われた実証実験に関する記者発表の様子。左が東村山市の渡部尚市長。右が大和リース執行役員で本社緑化事業部の千田文二郎事業部長(写真:日経BP)

 東村山市では、もともと単独での厚生室改修を前提に費用を予算化していた。しかし今回、民間事業者との連携によって、空間デザインのノウハウや什器・機器類の提供を受けることによって、市単独で事業を進めた場合より高品質の空間を構築できたといえる。一方、大和リースでは市職員のリラックス度やストレス度などのデータ提供を受け、ヴェルデニアの効果検証を行うことができる。これにより、両者にメリットがある連携となった。

 東村山市の渡部尚市長は、この公民連携プロジェクトで目指すゴールについて「職員の満足度を高めるだけでなく、働きがい、生産性を高め、結果として最終的には市民サービスの向上に資すること」と語った。

 厚生室のリノベーションは、部署や年齢・役職横断で市職員が関わるプロジェクトとして進められた。「リフレッシュできる場所が必要」「気軽にミーティングできるスペースがあるとよい」「出先から本庁舎に来た時の待機場所がない」といった現状のワークプレイスの課題を洗い出し、それらに対応できる機能を空間に落とし込んでいった。渡部市長は「縦割りを超えた連携によって、『やってみれば新しいことができるんじゃないか』というチャレンジ精神も醸成されつつあるのではないか」と、リノベーション・プロジェクトの副次的な効果にも言及した。