職員のバイタルデータを読み取って効果を検証

実証実験のイメージ(大和リース大阪本店におけるNECとの実証実験イメージ)(資料:大和リース)
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 市職員を対象とした実証実験は、NEC、パナソニック、電通サイエンスジャムの協力を得て大和リースが実施する。

 NECとは「感情分析ソリューション」による実証を行う(モニター職員は約20人)。職員が身に着けた腕時計型のウエアラブル・デバイスから脈拍を読み取ってクラウドにデータを送りAIで分析。休憩室での人の感情(覚醒度、快・不快などの傾向)の動きを検証する。

 パナソニックとは「非接触バイタルセンシング」の実証を行う(モニター職員は約20人)。これは、カメラでモニター職員の顔画像の肌色の変化を測定し、そこから感情の状態を測定・数値化していく。

 電通サイエンスジャムとの実証(モニター職員は16人)では、モニター職員にヘッドギアを付けてもらい、脳波を測定。仕事への集中度などを測定。この実証実験については、新しい厚生室の完成前から先行スタートしており、厚生室リノベーション前後のデータを比較検証する。

実行政の執務スペースの質を変えるきっかけにも

 利用開始から約2カ月、利用状況はどうなっているのか。東村山市経営政策部資産マネジメント課の杉山課長補佐 兼 公民連携担当主査によると「昼食時には満席になることもしば。データを取って比較したわけではないが、従前の厚生室に比べて女性の利用率が上がっているように見える。昼食時以外は、休憩と打合せで利用されており、予約制の打合せ場所は人気で予約が取りにくくなっている」という状況だ。一部には隣で仕事をされると気になる」「おしゃれすぎて入りにくい」といった声も聞かれるというものの、職員からはおおむね好評のようだ。

 「堅苦しくないスペースでの打合せなので、意見交換が活発になる」「集中してデスクワークしたい場合に籠ることができる」といった評価もあり、これまでになかった行政職員の執務空間としての機能も果たしている。

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リニューアル後の厚生室の様子。職員が思い思いに様々な使い方をしている(写真:東村山市)
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 今後の課題として杉山氏は、「植栽、いす、テーブルなどの無償提供期間が終了する1年後、市として厚生室の環境をどうしていくのか」という点を挙げる。厚生室の内装やつくりつけのカウンター、照明・空調といった設備などは市が自ら整備したものだ。しかし、実証実験のために期間限定で提供を受けているいすやテーブルなどは、従来、市で調達している標準的な家具類よりグレードが高く、今後も市として同様のものを調達するのは難しい。「実証実験で生産性向上などに資するというデータが取れれば、家具類にかける予算の考え方も変わってくるかもしれない」と杉山氏。今回の実証実験は、その結果次第では行政の標準的な執務空間の質を変える契機となるかもしれない。

東村山市(ひがしむらやまし)
東京都の多摩地域北部、都心部から約30kmの圏内に位置し、市域全体に広く住宅地が分布している。面積17.17km2、人口15万1255人(2019年12月31日時点)。
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訂正履歴
初出時、大和リース千田執行役員の氏名を「千田文治郎」と記していましたが、正しくは「千田文二郎」でした。お詫び申し上げます。記事は修正済みです。 [2020/2/25 18:20]