視覚的に分かりやすく紹介

 ガイドラインの策定に先立ち、島内の集水域別に土地利用や既存の水資源を把握したうえで、グリーンインフラのパイロット・プロジェクト適用情報が開示されている。

 ABC-WDGでは、グリーンインフラの展開を、開発業者や計画・設計者のみならず国民の誰が見ても理解できるように伝え、また具体的な空間の体験利用を通じてグリーンインフラに対する理解を深めることを目指している。

 ガイドラインは大きく、A)計画、デザイン、実践、B)安全性、公衆衛生、管理、C)持続的環境の創造に向けたコミュニティー、プログラム、環境教育、D)認証制度の四つに分けられる。

 まず、A)計画・デザインに関しては、「雨水を集めて、きれいにして、流すまたはためる」ための具体的なグリーンインフラ要素技術を視覚的に分かりやすく紹介している。

 建物、道路、水面、広場、緑地、駐車場など土地利用別にグリーンインフラ適用策が示され、屋上緑化、バルコニー緑化、垂直緑化、地面レベルでの緑化など、あらゆる地表面を活用し、緑と水の機能をどのように掛け合わせれば最大限の効果を上げることができるかについて、具体的な手法の組み合わせまで提示する(図2、3)。

図2■ABC-WDGが推進する持続的雨水管理を核としたグリーンインフラのコンセプト
(資料:PUB, Singapore's National Water Agency)
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図3■ABC-WDGの集水エレメンツ別に示されているグリーンインフラ適用策の一例
(資料:PUB, Singapore's National Water Agency)
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 次にB)安全性や管理に関しては、計画・設計時の降雨量に合わせた水システムの提案から水の流量のシミュレーションまで、詳細な評価基準に基づいた安全性の確保が示されている。

 C)は、ABC-WDGが最も重視している要素だ。水と人・コミュニティーをつなげるための仕組みが、多様なプログラムや学校教育、パートナーシップなどで構成されている。

 D)の認証事業ではプロジェクトの計画から施工段階まで一括してABC-WDGに沿って取り組むとポイント制で「Active」、「Beautiful」、「Clean」、「Innovation」の四つのレベルで認定される。

 認証は企業の環境推進イメージの認知や不動産価値の向上に役立つ。このようにグリーンインフラに取り組むための明確な目標や便益が共有されているのが重要である。