職員は50人減も、新電力で50人の雇用

 みやま市の人口減の抑制にも、地域新電力の事業が寄与するのではないかと同市は期待している。

 同市では、人口の減少のうち、他の地域への流出超過を指す「社会減」が起こる要因の一つを、「その地域の未来を創っていく方法を学んだことがない」点にあると考えている。そして、これまでに多く見られた大企業の拠点や大型商業施設の誘致は、地域の未来を創っていくための根本的な策ではないと感じ始めていた。

 できれば、地域に何らかの資源があり、その上に成り立つような産業が生み出せれば、地域の未来を創っていく姿として望ましく、地元に新たな仕事を生み出すことも実現しやすいと考えた。その手段として、再エネ発電やその発電電力を活用する地域新電力は最適だった。

 みやま市では合併後、約5000人の住民が社会減で減った(図7)。この影響もあって、市の職員も約50人減らした。この職員の減少による行政サービスの低下は、非営利団体(NPO)を活用することで、できるだけ維持できるように努めている。ただし、そこには限界がある。

 みやま市の電力事情をみると、これまでの九州電力からの電力購入では、みやま市内から年間約40億円が他の地域に流出している状況にあった(図8)。これを、地元の再エネ発電所などの発電電力を使った地域新電力ですべて代替できれば、この約40億円を地元に残して回せる状況に変えられる。

図8●地域外に流出していた電力関連費は40億円
(出所:みやま市、みやまスマートエネルギー)
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 もし、地域新電力によって、電力関連の他地域への流出分を地元にとどめておくことができるならば、電力に関連した分野や、市の意向を汲んで行政課題の解決に寄与するような市民サービスを地域新電力が増やして行くことで、地域に新たな仕事や雇用の機会が生まれる。

 このように、市の職員や予算の減少によって市では十分に実現できないサービスを新電力が担い、その雇用も生むことができれば、行政側のサービス低下分を補えるのではないかというのが、目指す姿となっている。

 地域新電力が市有の公共施設や企業、住宅に電力供給をはじめ、同時に市民サービスの提供も始めたことで、すでに2017年度末時点で、関連企業を含めて約50人の雇用が生まれている。みやまスマートエネルギーで約30人、みやまパワーホールディングスで約20人となっている。みやまスマートエネルギーの30人のうち、約20人が電力事業、残りの約10人が地域コミュニティ施設「さくらテラス」で働く。

 合併後の市の職員が、これまでに約50人減っていることを考えると、ちょうどその分の仕事や雇用が生まれたことになる。