市が「利益相反」で調査も

 電力事業で稼いだ収益で市民サービスを生み出すという高い理想を掲げ、しかも、設立当初から、できるだけその方針を多く実行することは、一方で、そのサービスが時期尚早だったり、取り組み方に改善の余地が大きかったりするといった、試行錯誤や模索を、経営基盤が十分には確立しきれていない状態で実行することを意味する。

 しかし、国内の多くの地方自治体にとって、いずれ向き合うことを余儀なくされる課題に対して、新電力をテコにしながら、いち早く解を模索していこうという活動の意義は大きく、参考になるべき点も多い。

 このように、理想と現実の間を蛇行しながら、将来に備えて適正なサービスを模索し続けているのが、みやま市の取り組みの特徴といえる。

 「拙速ではないか」「地に足をつけた活動に徹すべきだ」などといった評価や指摘を受けることがあるなど、評価が分かれる試みも少なくない。実際に、取り組みや経営体制・手法の一部には、市議会や一部の一般紙などから、是正すべき点の指摘が続いている。

 この一つに、みやまスマートエネルギーと、同社の40%の株式を所有するみやまパワーホールディングスの間の取引に関するものがある。利益相反取引の調査を始めたことを、みやま市は明らかにしている。両社とも代表者が共通していることに加えて、地域新電力としての目的に該当しないと思われる業務があり、市議会から疑問が挙がったことに対応したものである。2018年10月の市長選で、新市長に代わったことも影響しているようだ。

 また、需給管理業務は、みやまパワーホールディングスに委託している状況が続いている。元々、みやまパワーホールディングスは、みやまスマートエネルギーにおいて、これまで準備が整っていない業務を担い、準備が整った時点で、業務を移管する手法を採ってきており、現在のみやまスマートエネルギーには、自社で需給管理を手掛ける素地は整っていると見られる。

 にもかかわらず、需給管理業務をみやまスマートエネルギーに移管していないのは、みやま市や同社が鹿児島県のいちき串木野市、肝付町、大分県の豊後大野市、竹田市、福岡県大木町、東京都港区、福島県白河市、山形県庄内町と提携している関係で、現在は地域新電力6社から需給管理業務を受託しているためという。

 新電力に関する制度が二転三転する中で、みやまスマートエネルギーのみ、需給管理の業務を移管しても、両社にとって需給管理の業務やコストの効率が悪くなり、利点がほとんどない状態であるため、需給管理を委託し続けているとしている。