サッカー場には「CO2フリー電気」

 民間企業の顧客は、この商工業団地のほかにも広がり、現在は約50施設(契約量:0.6万kW)となっている。このほか、磐田市の高圧受電の約100施設(約1.2万kW)が、新電力から電力を購入している。合わせて約150施設(約1.8万kW)に供給している。

 市民が集まる代表的な施設の一つであるサッカー専用競技場「ヤマハスタジアム」(ヤマハ発動機が所有)では、新電力からの調達に切り替えるだけでなく、「CO2フリー電気」(CO2排出係数がゼロの電気)の調達にまで踏み込んだ(図7関連記事)。同スタジアムは、プロサッカーのJリーグに加盟しているジュビロ磐田の本拠地で、市民への訴求力は抜群の場所であり、スマートエナジー磐田のPR効果も期待できる。

図7●ヤマハスタジアム(出所:ジュビロ)
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 CO2フリー電気は、スマートエナジー磐田の新たな電力プラン「いわたゼロエミでんき」を選んだことで実現した。

 このプランでは、2つの風力発電所などの地産電源からの電力と、再エネ由来の証書を組み合わせた二酸化炭素(CO2)排出係数ゼロの電力を提供する。ヤマハスタジアムとの供給契約量は約1000kWとなっている。

 「いわたゼロエミでんき」は、アーバンエナジーが先行して手がけていたプラン(関連記事)を磐田市版にアレンジしたもので、ここでも他地域での経験が生きている。

植物工場には、電気と熱、CO2の「トリジェネ」

 スマートエナジー磐田では、電気と熱を合わせて供給するシステムがコジェネレーションと呼ばれていることに引っ掛けて、電気、熱、CO2の3つを供給するサービスをトリジェネレーションと称している。

 このサービスを利用しようと考えているのが、PAの南側にある植物工場群だ。スマートアグリカルチャー磐田(SAC iWATA、磐田市高見丘)の施設栽培拠点である。同社は、富士通(出資比率:51%)、オリックス(39%)、増田採種場(10%)による合弁会社で様々な野菜や果物を、多様な環境で育成している(図8)。市が誘致した企業で、植物工場では、日照や温度、湿度といった環境だけでなく、水や栄養分の供給まで管理・制御する。電気と熱だけでなく、光合成に必要なCO2も、生産計画の下に適宜、供給する必要がある。そこで、電気と熱に加えて、CO2についても、同社ではスマートエナジー磐田からの調達も検討しているという。

図8●PAの南側に点在する植物工場群(出所:スマートアグリカルチャー磐田)
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 このような先進的な事業への取り組み意欲が旺盛なのが、磐田市における分散型エネルギー源や地域新電力の事業者全般に見られる特徴といえる。磐田市、JFEエンジニアリングともに、お互いが「新しい動きに対して貪欲」と評価している。