地元の太陽光発電の活用では、蓄電池・EVとの連携も模索

 太陽光発電では、地元の発電事業者を調達先に加える交渉を進めている。固定価格買取制度(FIT)に基づく買取期間が終わった後の、いわゆる「卒FIT」の太陽光発電設備では、既に2カ所の市の施設の屋上にある設備の発電電力を買い取っている。2カ所とも、2019年11月にFITの買取期間が終わり、新電力が新たな買取先となった。

 今後、こうした卒FITの太陽光発電設備からの調達が増えてくる。FITの買取価格ではなく、市場価格が比較対象となるため、新電力にとって、プレミアム分を支払ったとしても安い再エネ発電電力となる。しかも、地元産で、発電事業者にとっても、供給先にとっても価格面で魅力のある電気となる。

 こうした地元産の再エネ発電電力を、より多く使いこなすためには、蓄電池の活用も有効になってくる。現在はコスト面で障壁が高いが、二輪車や四輪車といった磐田市と親和性の高い産業でも、蓄電池を搭載した車両が増えてくると見られている。地元の企業が開発・販売する蓄電池を載せた二輪車や四輪車を、移動していない時間帯には、再エネ発電の余剰電力を吸収する蓄電池として活用するような取り組みでは、連携しやすい環境にある。

新潟や熊本など4市での取り組みに発展

 設立後、3年目に入った新電力の経営状況は、薄利ではあるが、黒字を続けている。売上高は、2018年度で約8億円としている。産業政策の一環であることからも、持続性のある健全な経営を続けることが重要としている。

 また、この磐田市の新電力の動きを見て、他の地方自治体でも、同じようにJFEエンジニアリングやアーバンエナジーが関わる地域新電力の設立とエネルギー供給を求められることが増えてきた。

 磐田市との取り組みが始まった後、新潟県新潟市、埼玉県所沢市、広島県福山市、熊本県熊本市において、地方自治体と地域新電力を設立した(関連記事:所沢市で地域新電力、太陽光・ごみ発電から調達、同記事:福山市、地域の再エネで国内最大級の地域新電力)。この四つの市は、清掃工場の設備で元々、付き合いがあった自治体としている。

 新電力をめぐる環境は、旧・一般電気事業者系や大手商社系などに、価格競争を挑まれて顧客を奪われる、新電力ごと吸収されるという動きが強まっている。今後も、こうした流れは加速するとみられている。

 その中で、長期的に地元に根付く地域新電力とは、どのような姿なのか。磐田の新電力では、「電気の調達コストが少し安くなるという利点だけの取り組みでは、顧客の心情から、再び大手に契約を切り替えられても仕方がないのではないか」という点を、スマートエナジー磐田代表取締役の小林 厚氏は強く意識している。

 そうならないために同社が心がけているプラスアルファの付加価値として、小林氏は「調達先の再エネ電源が地元で、かつ明確であること、市況の好況を頼りにしすぎない事業構造とすること、さらに、今後の動向に備えた新たなネタを仕込み続け、的確に提供できるようにすることが重要」と力を込める。