神奈川県小田原市では2019年11月、小田原漁港の一画に、公設の商業施設「漁港の駅 TOTOCO(ととこ)小田原」(正式名称:小田原漁港交流促進施設)をオープンした。施設を維持管理・運営する指定管理者は、二度の公募を経てようやく選定。この場所を、地元の魚の認知度アップと消費拡大の拠点と位置づけ、年間50万人の来場者数をめざす。

 相模湾に面する小田原市。その沖合は栄養分が豊富で、市の魚に指定されているアジを始め、主なものだけで約60種類の魚介類が獲れる。市内に4つある漁港のなかでも、年間約1700トンと屈指の水揚量を誇るのが小田原漁港だ。漁港内は、魚市場や数々の飲食店で賑わい、同市の人気観光スポットになっている。

 2019年11月、その小田原漁港の一画に、魚をテーマにした市の商業施設「漁港の駅 TOTOCO(ととこ)小田原」がオープンした。施設は、地上3階建て、延べ床面積1540m2の規模。南面に設けられた2階~3階のテラスからは、相模湾の美しい風景が一望できる。施設の運営は、伊豆地方を中心に道の駅の運営や観光土産品の企画開発などを手がけるTTC(本社:熱海市)が、指定管理者として携わっている。

TOTOCO小田原の外観。名称:漁港の駅 TOTOCO小田原/所在地:神奈川県小田原市早川1-28(住居表示)/最寄り駅:JR早川駅徒歩10分/面積:土地3339.64m2、延べ床1540.77m2/構造:S造/階数:3/0/用途:物販・飲食店舗など/事業主:小田原市/指定管理者:TTC/設計:セントラルコンサルタント/施工:松浦建設・杉崎工務店特定建設工事共同企業体/駐車場166台(施設内46台、県駐車場120台) /建設費:約7億円(うち補助金約1億2000万円)(写真:漁港の駅 TOTOCO小田原)
テラスから望む相模湾の景色(写真:漁港の駅 TOTOCO小田原)

 1階は物販エリアで、小田原漁港の魚市場から仕入れた鮮魚や水産加工品に加え、地元農産物や地元企業と共同開発した土産品なども販売する。2階は鮮魚をテーマとしたフードコートで、地域住民が集会などに使える多目的室も設置した。

 最上階となる3階には「お刺身食べ放題」を売りにしたビュッフェレストラン「おさしみ天国・小田原海鮮ゴーゴー」を設けた。地場産の魚介類を中心に、約30種類のメニューをそろえている。2、3階は昼食時に平日でも長い列ができる人気ぶりだ。

鮮魚・活魚売り場は地元の漁協と魚市場が設立した会社がテナントとして運営(写真:漁港の駅 TOTOCO小田原)
地元農家が生産した農産物も販売(写真:坂井敦)
人気NO1のとと丸頂上丼(左、2480円)とアジをふんだんに使ったあじ丼(1380円)(写真:漁港の駅 TOTOCO小田原)
海鮮をテーマにしたフードコート。TTCと地元企業が出店(写真:坂井敦)
フロアの配置図
(出所:小田原市)

 11月22日のグランドオープンには、タレントのさかなくんによるトークショーや、お笑いライブ、稚魚の放流など様々な催しを実施。雨天にも関わらず、2000人以上が訪れた。

オープニングセレモニーでは、カサゴの稚魚を放流(写真:小田原市)

施設の目的は地場魚の認知度アップ

地場産カマスの中骨を抜いて油で揚げた新名物、かます棒(写真:小田原市)

「小田原の干物や蒲鉾は有名だが、魚自体の素晴らしさは、あまり認知されていない。この施設を、小田原の魚のブランド力を高めるための発信拠点にしたかった」。TOTOCO小田原を開発した目的について、小田原市経済部水産海浜課の佐藤正和課長はこのように話す。

 地元の魚をいかにしてPRしていくかは、小田原市が長らく取り組んできた課題だ。2013年には小田原市や地元の漁協、市場、商工会議所などがメンバーとなって、「小田原の魚ブランド化・消費拡大協議会」を発足。新名物「北条一本ぬきカマス(通称かます棒)」の開発や、地魚加工品ブランド「小田原城前魚(しろまえざかな)」の創設などを行ってきた。そんななかで、ブランド化の発信拠点となるような施設が必要だという意見が、協議会の中からも上がっていた。

地魚加工品ブランド、小田原城前魚の宣伝ポスター(資料:小田原市)

 そこで着目したのが、小田原漁港で建設が予定されていた直販施設だ。同漁港では、神奈川県が2002年に策定した「小田原地区特定漁港漁場整備事業計画」に基づいて整備事業が進んでいる。新港西側エリアでは、沿岸の海を県が埋め立てて、新たな土地を創出。そこに、魚介類を短期間飼育する「蓄養(ちくよう)水面」や生産流通加工施設、直販施設などを整備し、漁業の六次産業化を促進していくことが計画がされた。市と協議会は、この直販施設を、地元魚のブランド化と消費拡大の発信拠点としていく方針を決めた。

小田原漁港の概要
(出所:小田原市)
TOTOCO 小田原の機能イメージ
(出所:小田原市)