電子ファイルで事前審査し、審査結果も事前確認

 瀬戸市が今回導入した介護認定電子審査会システムの特長としては、①電子ファイルによる効率的な資料配布、②電子ファイルでの事前審査と集計結果の事前確認、③オンライン会議の開催、④安全に配慮した資料回収の4点が挙げられる。1つずつ説明しよう。

①電子ファイルによる効率的な資料配布
 瀬戸市の場合、一度の審査会で一人の審査員に配布する資料は50~200枚ほど。従来は5人の審査員と市役所の担当職員分の計6人分の資料を審査会のたびに印刷し、レターパックプラス(520円)で郵送していた。同システムを導入することで審査資料をPDFファイルとして電子的に配布することができるため、印刷と郵送の手間とコストを削減することが可能になった。

電子的に配布した審査資料(データはダミー、資料提供:IIJ)
電子的に配布した審査資料(データはダミー、資料提供:IIJ)
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審査委員は審査資料をオンラインで事前確認(データはダミー、資料提供:IIJ)
審査委員は審査資料をオンラインで事前確認(データはダミー、資料提供:IIJ)
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②電子ファイルでの事前審査と集計結果の事前確認
 従来、審査委員は郵送されてきた審査資料を基に事前審査を行い、審査会の当日に持ち寄って審査結果を集計・検討していた。しかし本システムの導入後は、電子ファイル化された審査資料(PDF)を基に事前審査を行い、審査結果をシステムに登録することで、審査会の2日前に集計結果をネットで確認できるようになった。集計結果を事前に確認することで、会議時間の削減も期待されている。なお、審査委員は審査会前に集計結果を見ることはできるが、審査の独立性を維持するために、他の審査委員の個々の判定結果については事務局以外は見ることができない仕組みになっている。

事前審査の集計結果画面(データはダミー、資料提供:IIJ)
事前審査の集計結果画面(データはダミー、資料提供:IIJ)
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③オンライン会議の開催
 従来、審査委員は市役所の会議室に出向いて審査会に参加していた。しかし本システム導入後は、オンライン(マイクロソフトの「Microsoft Teams」を利用)での参加が可能になった。個々の審査委員の評価と集計結果を画面上で共有しながら会議を進め、合議の上で議長がオンライン上でサイン登録すれば審査が終了となる。

 瀬戸市は2022年2月までに約20回の審査会で介護認定電子審査会システムを利用してきたが、一部の合議体(全部で8つの合議体がある)では会議時間の短縮効果も見えてきたという。瀬戸市健康福祉部高齢者福祉課介護認定給付係の大嶋洸次郎氏は「1回の審査会に従来は30分から1時間半程度を要していた。それが15分から30分程度、短くなっている合議体もある」と語る。

 オンラインで参加する審査委員も着実に増えている。2022年2月時点で審査委員40人中25人がオンラインで審査会に参加し、感染リスクの低減に役立ったほか、会議室への移動時間が削減され、特に診察などで多忙な医師などに好評だという。さらにオンライン参加であれば審査委員になってよいといった声も出てきており、将来的な成り手不足の解消にもつなげたい意向である。

④安全に配慮した資料回収
 審査会資料は、所定の時間が経過すると自動的に削除される。国の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインをクリアしており、セキュリティもしっかりと担保されているため、個人情報の流出の懸念が解消されているという。

 介護認定電子審査会システムについて、井村氏は「いち早くオンライン開催に慣れて、オンラインが日常的になるようにしていきたい」、大嶋氏は「審査委員全員がオンラインで参加するようになると審査資料の印刷や郵送が効率化できるため、審査会までの日程も短縮できる」と今後の展開に期待する。