南紀白浜エアポートをはじめ、地元企業が協力

 三菱地所の取り組みに、地域の様々な事業者が呼応し、協力している。南紀白浜エアポート(和歌山県白浜町。経営共創基盤、みちのりホールディングス、白浜館が共同出資)は、その代表格だ。同社は南紀白浜空港を運営すると共に、空港を起点とした地方創生に取り組んでおり、その一環でWORK×ation Site 南紀白浜のサポート役を買って出た。

南紀白浜空港。2019年4月からコンセッション方式で南紀白浜エアポートが運営している(写真:2点とも南紀白浜エアポート)
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南紀白浜空港。2019年4月からコンセッション方式で南紀白浜エアポートが運営している(写真:2点とも南紀白浜エアポート)
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南紀白浜空港。2019年4月からコンセッション方式で南紀白浜エアポートが運営している(写真:2点とも南紀白浜エアポート)

 具体的には、利用企業に対する現地行程プランの提案や、それに付随する交通・宿泊・飲食・体験などの予約手配、オフィス清掃や備品の管理・補充、利用企業の現地相談窓口などを担っている。東京で経営コンサルティングの経験があるスタッフを擁しており、首都圏企業のニーズに合ったプランを提案できるという。旅行業免許を取得しており、地元ならではのプランも多く用意している。

 同社の協力が得られたことで、三菱地所は管理運営スタッフを自社で常駐させることなく、コストを抑えた事業運営ができているという。

 また、周辺の宿泊施設もワーケーション需要に対応している。観光地である南紀白浜には、いわゆるビジネスホテルが少なかったが、現地でリゾートホテル「SHIRAHAMA KEY TERRACE HOTEL SEAMORE」を営む白浜館(和歌山県白浜町)が、SEAMOREに隣接して滞在型宿泊施設2棟50室を開設した。最大3人まで泊まれる部屋を1人で利用した場合も、宿泊料金は税別1万円以下としている。

 地元の飲食店にも、ビジネスパーソン向けに価格を抑えたデリバリーメニューを開発するといった動きが出てきた。「県が地元企業とつないでくれて、我々も泥臭い手探りの活動をするなかで、前向きに協力いただけるようになった。地元に根付くとはこういうことかと感じた。自社で専用の宿泊施設を構えるとなれば、早期にスモールスタートを切ることはできなかった。今後も、送客して地元に経済効果が波及するように考えたい」(三澤氏)。

 WORK×ation Site 南紀白浜を含めた和歌山県のワーケーション事業の効果もあって、羽田・南紀白浜間の移動ニーズも増している。この路線を担う日本航空は、同路線の1日3便(往復)のうち、朝夕は使用機を大型のものに変更した。95席の機種から165席の機種に変更し、1日当たり片道140席を増やしたが、搭乗率は常に高めに推移しているという。

今後、全国10~20室のワーケーションサイトを

 三菱地所は、2020年春ごろまでに新たに2件のワーケーションサイトを発表予定だ。当面は全国10~20室まで施設を増やす方向で検討している。ロケーションはやはり、空港や新幹線駅から至近で、かつ非日常の感覚が味わえることを条件にしている。

 収益性には固執しない。「あくまでテナント企業へのサービスの一環であり、この事業単体で大きく利益を上げようという考えはない。また、我々としても地方創生といった公共性の高い事業に取り組んでいきたい思いがある」(三澤氏)。

 ただし、テナント誘致への効果は期待している。「(ワーケーションによる)立地のいいオフィス、多様な働き方などは、企業の人材採用に好影響を及ぼすことが期待される。今は各社、リクルーティングに苦慮する時代なので、一定の訴求効果があるはずだ」(同)。

 ワーケーション事業の推進を考える自治体には、「ぜひ、リアルなニーズに目を向けてもらいたい」と三澤氏は語る。「企業の多くは今、いかにイノベーションを起こすのかを必死に追い求めている。地元の熱いスタートアップや技術とコラボできる仕組みがあるといいのではないか。AI、フィンテックといったテーマを掲げてイベントを開くなど、呼び込みたい層を絞って明確にアピールすると効果がありそうだ」。