鹿児島市が2013年から毎年実施している、「かごしまデザインアワード」。同事業が、市内企業のデザイン活用の促進と、産業振興に重要な役割を果たすようになってきている。新商品開発を促すための後押しと、スポーツをはじめとする市の活性化に、デザインをどのような形で活用し、その支援を自治体がどのようにしているか。筆者は2015年度から、「かごしまデザインアワード」に審査員として加わった。間近にそのプロセスを見てきた立場からリポートする。

かごしまデザインアワード(2018年)のウェブサイト

 かごしまデザインアワードを主催するのは同市の産業局産業振興部産業創出課。アワードの仕組みは以下の通りだ。まず鹿児島市が、商品のデザインやパッケージのデザイン、自社サービスのキャラクターデザインなどを新たに開発したい市内の企業を数社募り、各企業とともに、どのようなデザインを求めるか、テーマとお題を設定。そのお題をもとに、日本全国のデザイナーからデザインを募集。公開のデザインコンペを実施して優秀作品を選定する。選定した優秀作品は、各企業がデザイナーとともに商品化を前提にした開発を進めていく。

 プロジェクトは毎年4月からスタート。最初の2カ月間で、まず参加企業の選定と、各参加企業が出す、こんな商品をデザインしてほしいという「お題」を決める。その後、デザイン関連の各メディアを通じて広報を行い、6月から10月までデザイン案の一般公募を実施する。公募いただいたデザイン案について、1次審査、2次審査を行って各企業賞を決定。12月末の表彰式の場で各企業賞を受賞したデザイナーが最終プレゼンを行い、その場で「最優秀賞」を決定・表彰する。

 この事業の市の総予算はおよそ1000万円。市内の各企業は、デザインを募集するに当たって金銭的負担は一切ない。デザイナーに対しては、各企業賞の10万円(各企業賞受賞作品の中から1つだけ選ばれる最優秀賞は50万円。賞金は市の事業予算から支出)が、そのままデザイン料となり、1年間の優先使用権が企業に与えられる。

 受賞した1年以内にデザインを企業がそのまま使用する場合は、企業がデザイナーにデザイン料を支払う必要はない。一方で、受賞したデザインの修正が発生した場合や、使用権の1年が過ぎた後に商品化をする場合にどのようにするかなどについては、デザイナーと企業が個別に契約を結んで取り決めを交わすことになっている。

かごしまデザインアワードの最終審査・授賞式の様子(写真提供:鹿児島市)
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