2016年8月末にこの計画が定まり、改修費として岩手銀行と東北銀行、北日本銀行、花巻信用金庫の4行から2500万円ずつ計1億円を借り入れた。そのほか、花巻市の後押しで、一般社団法人の地域総合整備財団(ふるさと財団)のふるさと融資も利用し、6600万円を借り入れることができた。ふるさと融資とは、県や市町村が地域振興に資すると認める事業が借り入れできる無利子の融資だ。クラウドファンディングでの寄付も募った。

 引き継ぎを検討する中で、小友氏は3つの条件が揃わなければマルカンビル大食堂は再生できないと考えていた。それは「クラウドファンディングが1000万円を下回らないこと」「食堂のスタッフが残ること」「10年で投資回収できること」だ。

マルカン大食堂の定番人気メニューの「ナポリかつ」(780円)(写真:日経BP総研)
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 寄付が集まることを存続の条件としたのは、資金を集めたいという理由以上に、地元の人々がどれだけ本気でマルカンビル大食堂を残したいと思っているのかを知りたかったからだ。その結果、クラウドファンディングと銀行振り込みによる寄付を合わせると2000万円以上の資金が集まった。

 並行して地域の事業者とマルカンビル大食堂名物のソフトクリーム型ストラップや、花巻市大迫町名産のワインなどのコラボレーション商品を開発・販売し、購入ごとに数百円ずつがマルカン百貨店の存続に寄付される仕組みにした。こうした商品を通じた寄付も、2016年8月末までの段階で100万円を超えた。食堂には約半数のスタッフが残ってくれた。

 マルカン百貨店が閉鎖する一つの要因は建物の老朽化だったが、現在は耐震計画を立て、耐震工事は2019年度中に完了する見込みだ。耐震工事の際には、行政の補助金制度も利用するという。