リノベーションスクール@花巻で人材育成

 さらに花巻市は、都市再構築検討プロジェクトチームが中心となり、2016年に「花巻市立地適正化計画」を策定した。計画の中では、リノベーションまちづくりを市街地活性化の手法の一つとして掲げている。

 リノベーションまちづくりに取り組み始めた理由は、このままでは自治体経営が成り立たないのではないかという危機感からだ。かつて街中に存在した多くの事業所や雇用が失われ、人口が減り、住宅や店舗が遊休化するとともに、自治体の主財源は減少していく。一方で肥大化した公共インフラの維持コストは高まっていく。それは多くの地方自治体が抱えている危機感でもある。そこで花巻市は、持続的な都市経営を実現するための一つの処方箋として、リノベーションまちづくりを取り入れることにした。

 その取り組みの一つが、2017年度から開催している「リノベーションスクール@花巻」だ。「民間投資を誘発し、街の新陳代謝を促すためには、新しい情報を持ってくるプレーヤーが欠かせない。建物やお金があっても、リノベーションまちづくりを実践する人が育たなければ街は動いていかない。人を育てる仕掛けとしてチャレンジしたのがリノベーションスクール」と、花巻市建設部都市政策室の伊藤ケイ子氏は話す。

花巻市建設部都市政策室の伊藤ケイ子氏(写真:日経BP総研)
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 1回当たり3日間のリノベーションスクールは、市内に実在する空き家や空き店舗などの遊休不動産をオーナーから提供してもらう。参加者はチームを組んで、地域経営課題の分析とそれらを複合的に解決する企画や事業収支の立て方、プレゼンテーションの手法などを学び、その物件を活用した事業プランを練り、最終日には不動産オーナーにプレゼンする。参加費は1人1万6000円だ。

 これまで2度実施したリノベーションスクールは、ともに定員を超える応募があり、選考ののち、2017年度には24人、2018年度には19人が受講した。2017年度の参加者の平均年齢は33歳で、全国各地から若い世代が集まった。すでにリノベーションスクール参加者のプロジェクト6件が事業化し、新たな雇用を生み出している。