民間による公園改修は公園施設設置許可で実現

 都市公園のリニューアルを民間事業者が手掛けるという珍しい事業を、つくば市とフージャースがどのように実現したのか、振り返ってみよう。

 フージャースによる公園再生の提案は、つくば市にとっても歓迎すべきものだったという。つくば市学園地区市街地振興室係長(取材当時。現・つくばまちなかデザイン専務取締役)の小林遼平氏は、地域が抱える課題や背景を以下のように説明する。

 「つくば市の中心市街地は高齢化率が7パーセントと低く、住民はファミリー層が中心だ。幼稚園児や小学生も多く、本来は公園のニーズは強いはずだが、市内の公園は30~40年前に完成したものが多く、古くさく遊具が少なく、魅力に乏しい。公園再生は市が抱える課題の一つとなっていた。一方でつくば市は、(筑波研究学園都市建設法が制定されるなどして)1970年から整備が本格的に進んだ国策都市であり、近年はインフラが一気に老朽化している。公園の再生に行政として手が回らない事情がある」

 このような背景から、市はフージャースの提案を受け入れた。2018年11月、フージャースとの間で「竹園一丁目国家公務員宿舎跡地における魅力ある開発の推進に関する覚書」を締結。覚書には(1)周辺の公共施設を考慮した開発の推進、(2)緑化の推進、(3)周囲の環境や自然と調和した建物のデザインや外構計画の推進を盛り込んだ。

 覚書に基づき、フージャースは公園の土壌を深さ30cm分ほど入れ替えて改良し、芝生や小山、デッキなどを整備した。これらは市の都市公園条例に則って、公園施設設置許可を受けて設置したもの。完成後、芝生や小山などはフージャースから市へ寄付した。現在は市の資産となり、つくば市が管理している。デッキはフージャースが引き続き所有し、維持・管理を担っている。

 公園の改修は、市側の費用が発生しないこともあり、市議会の議決は必要なかった。小林氏は「スピード感を持って企画を実行に移せた」と振り返る。ただし、計画当初は「一企業であるフージャースのマンション広告に公園が利用されている」「公園の私物化ではないか」などと懸念する声も一部では聞かれたという。

「デュオヒルズつくばセンチュリー」のウェブサイト。トップページには、マンション手前の公園の緑が生える写真を使用してイメージアップを図っている(資料:フージャースホールディングス)

 「市としては、デッキも含めて誰もが使える公園であることや、市の予算を投入せずに公園が再生するので、市や地域にもメリットのある取り組みであることを説明した。当初は懐疑的な見方をしていた人も、リニューアル後の公園を実際に目にして、好印象に変わったようだ」と小林氏は話す。

 また、フージャースでは公園と連なる立地や景観を積極的にPRしているが、ここでは、公園がマンションの専用庭であるかのような表現を避けることなどに留意したという。

 自費(金額未公表)を投じて公園リニューアルを行ったフージャースでは、「つくばエリアでこれまでに約1500戸を供給してきた事業者として、地域に貢献したかった。また、公園のリニューアルで地域の魅力が増せば、その価値は(マンション購入を検討する)お客さまにもご理解いただけると考えた」(フージャースホールディングス事業開発部の清家仁部長)と同社が公園再生を進めていった背景を説明する。

 リニューアルに当たって、同社は様々な公園を見学し、特に南池袋公園(東京都豊島区)の公園の在り方が参考になったという。「さまざまな世代の方が暮らしの一部のように自然に公園に立ち寄っている様子がすばらしいと思った。芝生がある公園にしたいと考えたきっかけ」と清家部長は語る。