イベントとの両立を前提にした設計

  “稼げるスタジアム”を実現、収益性を確保するためには、コンサートなどに利用できるようにすることが不可欠だ。そのため、スタジアムの芝生の保護は大きな課題だ。トップレベルの競技にふさわしい天然芝とイベントの両立には多くの施設が頭を抱えている。

 屋根付きスタジアムは日陰が多く、通風も悪くなりがち。とはいえ頻繁に張り替えるのも採算を考えると好ましくない。京都府は芝生の実証実験を京都サンガに委託、調査や実験を重ね、日陰に強く回復が早い新品種の「セレブレーション」を選定した。また、当初はスタンド最前列を芝生のピッチと同じ高さにする「ゼロピッチ」を予定していたが、芝のコンディション維持に必要な通風を確保するため、座席を1.2m高くした。

 さらに、芝へのダメージを最小限に抑えピッチ上に敷設する天然芝保護用の養生材「テラプラス」を導入した。

「通常は、イベントを開催する際に養生材を借りてくるのが一般的ですが、コストをかけることなく自前でできるようにスタジアムに備えています。ユニット単位で養生材の貸し出しも行っています。例えば他の会場、西京極の競技場でイベントをやるから使いたいという時はこのスタジアムでの使用予定がなければ有料で貸すこともできます」(川崎課長)

 スタジアムをプロフィットセンター化するため、日常、つまり、ハレとケなら「ケ」の時にも人が集まるような工夫も凝らしている。

国内最大規模のスポーツクライミング施設。リード(左)、スピード(右)ボルタリング3種すべての国際競技基準を満たしている(写真:市川史樹)
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国内最大規模のスポーツクライミング施設。リード(左)、スピード(右)ボルタリング3種すべての国際競技基準を満たしている(写真:市川史樹)
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国内最大規模のスポーツクライミング施設。リード(左)、スピード(右)ボルタリング3種すべての国際競技基準を満たしている(写真:市川史樹)

 その一つが屋内型クライミング施設「グラビティリサーチ サンガスタジアム by KYOCERA」。屋内ではスポーツクライミングの3種目(ボルダリング、リード、スピード)すべての国際競技基準を満たす日本初の施設でもある。ビバ&サンガがクライミングジム「グラビティリサーチ」を運営する好日山荘に業務委託。子ども用ウォールも設けるなど、様々な年齢やレベルに合わせたクライミング・ボルダリングを楽しむことができる。

大河ドラマ館の跡地には保育園がオープンする(写真はイメージ・提供:ビバ)
大河ドラマ館の跡地には保育園がオープンする(写真はイメージ・提供:ビバ)
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 近い将来には文字通り「スタジアム育ち」の子どもたちも生まれる。スタジアム1階のバックスタンド裏には開業当初、亀岡にゆかりの深い明智光秀が主人公の「麒麟がくる京都亀岡大河ドラマ館」がオープンした。『麒麟がくる』は2021年2月に放映が終了し、大河ドラマ館は閉館したが、隣接して併設されていた「光秀大河物産館」を保育施設に改装し、2021年6月にビバが運営する企業主導型保育園「びばっこ保育園」として開園する。当初は0~2歳児を各10人ずつ受け入れる。3年後には施設エリアを拡張し、対象を5歳児まで広げる予定だ。