保育園にスポーツクライミング、eスポーツで地元に根ざす

 びばっこ保育園の理事長も兼ねる小森代表は「ピッチの芝生を園庭のように走り回ったり、スタジアム内のフィットネスやクライミング施設を使ったり、近くを流れる保津川での遊びを取り入れるなど、五感を育む『遊育』をキーワードに、子どもたちの未来に繋がる保育を目指したい」と言う。

 スタジアム4階は「スカイフィールド」先端テクノロジーを活用したスポーツや健康づくり、イノベーション、人材育成の拠点として位置付けている。

 4月10日に「VR/フィットネスゾーン」、6月には「eスポーツゾーン」「コワーキングゾーン」がオープンする予定だ。

 「eスポーツゾーン」のオープンに先立ち3月28日、こけらおとしイベントと京都スタジアム杯eスポーツ選手権を開催した。「eスポーツゾーン」の利用料金は80円(一般、15分)からとリーズナブルに設定。市民に安い料金で提供するだけでなく、eスポーツ大会会場としても積極的に活用し、eスポーツスタジアムとして運用していく構想を明らかにしている。

「eSPORTS ゾーン」。PC席10席とコミュニティソーン15席がある。ゲームは約20タイトル。eスポーツ大会のほか、プログラミング体験教室なども実施する(提供:ビバ&サンガ)
「eSPORTS ゾーン」。PC席10席とコミュニティソーン15席がある。ゲームは約20タイトル。eスポーツ大会のほか、プログラミング体験教室なども実施する(提供:ビバ&サンガ)
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 サンガスタジアムにはauのローカル5G基地局を設置、すでに観戦イベントも実施しているが、eスポーツにも活用。4階「eスポーツゾーン」だけではなく、ピッチや駅前広場を活用したイベントや大会も視野に入れている。

「VR/フィットネスゾーン」。プロジェクションマッピングを備えたスタジオもある(提供:ビバ&サンガ)
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「VR/フィットネスゾーン」。プロジェクションマッピングを備えたスタジオもある(提供:ビバ&サンガ)
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「VR/フィットネスゾーン」。プロジェクションマッピングを備えたスタジオもある(提供:ビバ&サンガ)
デジタル映像に合わせてバイクを漕ぐサイクルワークアウトスタジオと「コワーキングゾーン」(提供:ビバ&サンガ)
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デジタル映像に合わせてバイクを漕ぐサイクルワークアウトスタジオと「コワーキングゾーン」(提供:ビバ&サンガ)
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デジタル映像に合わせてバイクを漕ぐサイクルワークアウトスタジオと「コワーキングゾーン」(提供:ビバ&サンガ)

「当初の構想ではスカイレストランが想定されていたが、京都府からも最先端のVRなどの技術を活用した事業をしてほしいという要望があり、提案した。eスポーツの大会だけではなく、プログラミング教室なども開催する。6月にオープンする『コワーキングゾーン』もテレワークなどの場所として使っていただくほか、大学などと連携して学びの場としても活用したい。スタジアムの1階が主に人間力を育むような拠点なら、4階はテクノロジーやデータ分析、スポーツビジネスなどの学びや人材育成の拠点にもしたい」(小森代表)

コロナで地元にさまざまな利用法をアピール

 新型コロナの感染拡大は開業一年目のサンガスタジアムに少なくない影響をもたらした。Jリーグは当初無観客でスタート。シーズン終盤でも上限定員の50%、10月10日のアルビレックス新潟戦までビジター席の受け入れはなかった。コンサートやライブなどのイベントもほとんど実施されず、団体旅行の受け入れがなかった大河ドラマ館の入場者数も当初の計画を大幅に下回った。

 しかし、思わぬ副産物もあった。密になることなく、オープンに使える場所ということで、地元や関係者に様々な使い方をアピールすることができたのだ。ピッチを使用して地元中学校の体育祭を実施、亀岡市の成人式を開催した。京都府の新規採用職員の研修にもスタジアムを使用した。また、人気ドレスショップ TAGAYAがプロデュースするスタジアムウエディングも注目を集めている。

 都市にも近く、自然も豊かな亀岡は近年、子育て世代などの移住希望者が増えている。嵯峨・嵐山に隣接し、周辺には湯の花温泉やトロッコ列車など観光名所にも恵まれている。多くの京野菜の産地でもあり、地域資源も豊富だ。京都府は亀岡市など府中部の5市町および京都市右京区の旧京北町エリアを「森の京都」として位置付けている。

 スタジアムは『森の京都』の入口としての役割も期待されている。京都府は亀岡市や各自治体、様々な事業者と一緒にエリア活性化の拠点を目指している。まちづくりのガイドライン策定や様々なイベントなど地域一体となった取り組みを通じ、エリアマネジメントの体制を整え、発展させようとしている。

 川崎課長は「『サンガスタジアムに行ったら、きっと楽しいことがあるよ』『ちょっと行ってみよう、スタジアムで遊んでくるわ』地元の方に早くそう思ってもらえるようにしたい」と言う。そして、その手ごたえも感じている。

 例えば、予約制で無料で使用できるようにしたスタジアム併設の3×3のバスケットコート(2面)がそうだ。

無料で利用できる3×3バスケットコート(写真:市川史樹)
無料で利用できる3×3バスケットコート(写真:市川史樹)
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 3人制バスケットボール、KYOTO BBのプロ選手が練習していることもあり、「地元の中高生がプレーするだけではなく、プロ選手のプレーを目の前で見ることができるかもしれないということで、私たちが思っていた以上の人気スポットになっているようです。コロナで閉鎖している時期も、『まだ開かないのですか』という問い合わせが、かなり指定管理者にあったようです」(川崎氏)。

 コロナ渦中のオープンから1年。日常づかいできるスタジアムとして、確実に歩みをはじめている。