牧野市長が「市民主役条例」を提案し改革を断行

 牧田氏がもうひとつのポイントとして挙げるのは、2010年4月に制定された「市民主役条例」である。同氏の説明をまとめるとこうだ。

 条例の第10条には、「市は積極的な情報公開や情報提供の運用を進めるとともに、市民との間で情報の共有や活用を図るように努める」という趣旨の一文がある。市ではそれまで決して情報公開に前向きだったとはいえなかったが、牧野市長の登場で方針が変わった。

 牧野市長は2004年、鯖江市と隣接する福井市の合併問題に端を発する前市長のリコールに伴う市長選挙で当選した。合併問題で市政を混乱させたとして選挙前に集まった署名は有権者の53%に達したという。その選挙で当選した牧野市長は、市民協働のまちづくりを第一に掲げ、2010年4月には「市民主役条例」を議会で通した。市が行っている公共事業の中から市民自らが担い手となったほうがよい事業を提案する「提案型市民主役事業」も制度化された。

 地元の女子高生が中心となって、自由にアイデアを出し合い、市民・団体、地元企業、大学、地域メディアなどと連携・協力しながら、自分たちのまちを楽しむ企画や活動を行う「鯖江市役所JK課」も、そうした取り組みの一環として、2014年にスタートさせた実験的な市民協働推進プロジェクトである。JK課はもともと「地域活性化プランコンテスト」という、首都圏の若者に鯖江市に来てもらい、市長になりかわって政策を立案してもらうイベントに参加した若者の声がきっかけで生まれたものだ。

 「『敬遠しがちなごみ拾いを、仮装して行うイベントに変えることで楽しみながらやろう』という企画・運営をJK課が主導したこともあります。女子高生ならではの視点でした」(牧田氏)。

鯖江市役所JK課のWebサイト
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 JK課は、市民主役条例推進委員会の傘下組織である「若者部会」の活動で行われている。JK課からの波及で「OC課(おばちゃん課)」という活動も立ち上がった。「市長は若い人をはじめ幅広く市民の意見に耳を傾けます。JK課というネーミングに眉をひそめる人がいることも確かですが、市長は『現状維持は後退だから、もっと挑戦しろ』と口癖のように職員に発破をかけています」(牧田氏)。