市場価格高騰で一時的に「逆ザヤ」

 ながさきサステナエナジーの船出は、奇しくも昨年12月から今年1月にかけて起きたJEPXの価格高騰に翻弄された。今回の電力価格高騰で、全国の地域新電力にとって打撃だったのは、JEPXからの電力調達のほか、固定価格買取制度(FIT)を利用した再エネを「特定卸供給」の仕組みで調達していた事業者が多かったからだ。特定卸供給による再エネ調達では、電力の購入単価は、JEPXの市場価格に連動すると決まっている。

 ながさきサステナエナジーの電源のうち、太陽光とバイオマス発電(廃棄物のうち生物由来成分)はFITを利用しているため、市場価格と連動している。一時的に1kWh当たり200円前後で仕入れた電気を10円以下で売る形になり、大幅な逆ザヤとなった。

 このため、同社では、今回の市場価格高騰により、2021年度の業績見通しを下方修正し、収益については6800万円から2800万円に引き下げた。それでも黒字を確保できる見通しなのは、市場価格の高騰に備えて、電源の約3割を市場外の相対契約で仕入れていたことが功を奏した。加えて、廃棄物発電のうち、バイオマス以外はFITが適用されず、こちらも市から固定価格で全量を仕入れ、夜間など、供給先で使いきれない余剰分を市場で販売しているため、その分は、市場価格高騰で収入増となった(図8)。

図8●西工場の外観。処理能力240t/日のストーカ炉で一般廃棄物を焼却し、発電出力は5.2MWだが、系統連系して売電できる容量は3.5MWに制限されている。設計施工は三菱・フジタ・菱興特定建設工事共同企業体
図8●西工場の外観。処理能力240t/日のストーカ炉で一般廃棄物を焼却し、発電出力は5.2MWだが、系統連系して売電できる容量は3.5MWに制限されている。設計施工は三菱・フジタ・菱興特定建設工事共同企業体
(出所:日経BP)
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 ながさきサステナエナジーは現在、供給電力の約3割が太陽光とバイオマス発電(西工場の約3分の2)、約3割がバイオマス以外の廃棄物発電(西工場の3分の1と東工場)、3割が相対契約で仕入れた電源、残りがJEPXから調達という電源構成という。つまり、市内の電源比率は約6割、再エネ比率は約3割になっている。

 同市では2026年に東工場の建て替えに伴い廃棄物発電の出力を増強する予定で、そうなると同工場からの調達量は、現在の2MWから5MWまで増える。これに合わせて、電力を供給する公共施設などをさらに増やしていく計画だ。