146人の県民が出資

 屋根を提供した「エコアくまもと」は、熊本県が関与した産業廃棄物最終処分場で、熊本県環境整備事業団が運営している。一般的に、産廃は民間ベースで収集して再資源化や焼却処理し、最終的に残る残渣を埋め立てる。ただ、民間で用地確保の難しい埋め立て処分地が不足すると、不法投棄が増える可能性があることから、自治体が関与して、産廃用の最終処分場を建設する例が増えている。

 「エコアくまもと」は、埋め立て地内で発生した水を河川などに流さない「管理型」処分場で、さらに屋根付きで雨水が入らない構造にしたことが大きな特徴だ。その結果、埋め立て地の上には、縦220m、横155mの巨大な屋根で覆われることになった。こうした特定エリアを覆って雨風を防ぐ構造物を、「覆蓋(ふくがい)施設」と呼ぶ(図3)。

図3●「エコアくまもと」屋根下にある埋め立て地
(出所:日経BP)
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 国内の産廃向け管理型最終処分場で屋根付き施設は、「エコアくまもと」を含めて4カ所しかなく、いずれも公共関与型になる。屋根のない場合に比べて雨水が流れ込まないので、埋め立て地からの排水処理を計画的に行える利点がある。

 「エコアくまもと」の覆蓋施設は、建設時から、屋根上に太陽光パネルを設置することを前提に、強度を設計していた。

 屋根を貸す太陽光発電事業者に関しては公募プロポーザルが実施され、地域の企業10社で設立した熊本いいくに県民発電所の提案が採用された。県民を巻き込んだ、資金調達スキームなどが評価されたという。

 資金調達では、47社に対する私募債で合計4900万円、個人向け小口ファンドを活用して1口2万円で2500口・合計5000万円を調達し、残りを地域の金融機関から融資を受けた。小口ファンドの出資に占める熊本県民の比率を見ると、出資者数では全328人のうち146人(44.5%)、出資額では5000万円のうち3750万円(75%)となり、狙い通り「県民発電所」といえる出資構成となった。

 私募債・小口ファンドとも償還期間は10年で、分配金のほか、定期的に熊本県の特産品を贈呈することになっている。県産品を金額換算した分も含め、投資10年間での想定表面利回りは7~8%以上になる見込みという。