施設の再活用ありき、健康拠点づくりはあとから付いてきた

富山市企画管理部行政管理課の山口雅之課長代理(写真:佐保圭)
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 「TTSを立ち上げた理由は、健康増進ありきではありませんでした」。そう富山市企画管理部行政管理課の山口雅之課長代理はふり返る。

 「同規模の都市と比べて、公共施設の保有量が多い富山市では、行政管理課が取り組む行政改革の柱として『公共施設のマネジメント』が一番大きい課題」(山口課長代理)だったという。

 TTSが入っている富山市総合体育館には、バドミントンなら12面、バレーボールは3面、バスケットボールは2面がとれる約2500m2の第1アリーナ、そのおよそ半分の規模の第2アリーナがある。そのほか、1000 m2に近いフィットネスルームや800 m2の体操練習場、弓道練習場、ボクシング室、卓球練習場があり、300 mと140 mの2つの室内ランニングコースもある総合的な体育施設だ。

富山市総合体育館の主な施設
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左が第1アリーナ、右が体操練習場(写真:佐保圭)
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左が弓道練習場、右が300mの室内ランニングコース(写真:佐保圭)

 総合体育館の年間利用者は、プロバスケットボールのBリーグなどの観客も含めると、2015年度までは年間およそ45万人前後、2016年度は51万人。人気の高い施設であるが、一方で課題もあった。

 「総合体育館は『2000年とやま国体』に合わせて建てました。大は小を兼ねるではないですが、必要な機能は盛りだくさんにという発想があって、どうしても施設自体が大きく、民間から見れば無駄なスペースも多い」(山口課長代理)。

 こうした使われていないスペースを有効活用しようと、富山市は、総務省の立ち上げた「公共施設オープン・リノベーション マッチングコンペティション」の専用ウェブサイトに総合体育館の一番奥のデッドスペースを登録。それを知った乃村工藝社から声が掛かり、TTSのプロジェクトが始まった。

 パートナーを募集した際、富山市は「デッドスペースの活用」だけを考えていたが、乃村工藝社がパートナーになり、「タウントレッキング」という新たな概念が提案されたことで、『健康につながる』『健康寿命を延ばす』という目的が加わった。

 「通常であれば、公共施設にカフェをつくるなど、利用者の利便性の向上を目指すケースが多いと思いますが、我々はもう少し欲張って、そこに市民の行政目的を持たせようと考えました」(山口課長代理)。