市からの運営委託費用はゼロ、課題は若い世代の利用拡大

富山市 市民生活部 スポーツ健康課 施設管理係 副主幹の中林隆典係長(写真:佐保圭)
[画像のクリックで拡大表示]

 「今の一般的なPPPの一つの課題は、指定管理料や委託料など、運営費まで市が補助することです。行政がこのような形である程度決まった金額を保証すると、民間事業者には頑張ろうが頑張るまいがお金が入って来る。TTSでチャレンジしたかったPPPは『行政が望むような事業なら施設整備は行政がします。その代わり、独立採算で運営して頑張ったぶんだけ利益をとってください』という公設民営の形です」(山口課長代理)

 ただし、市が費用を負担している部分もある。「富山市は、民間事業者によるTTSの行政目的内の使用を許可しています。通常は市への使用料が発生しますが、行政判断として減免の制度を用いて、使用料を無料化する代わりに運営費は払わない」(中林係長)

 3年にわたって市に交付される内閣府の地方創生推進交付金もTTS運営のソフト面に活用されている。2016年度の交付金2000万円は、TTSオープンまでのソフト事業費に充当され、17年度、18年度にもそれぞれ1000万円が、富山市が行うTTSの事業に対して交付される。

 富山市は、主に2つの取り組み内容を内閣府の地方創生推進交付金の申請の際に明記した。1つは、TTSの運営。会員の募集・管理や広報宣伝による周知、会員獲得イベントの実施や周知など。もう1つは、ディスカバリー機能(会員の健康行動に対するデータを会員に見せるとともに、改善等に活かしてもらう機能)の拡充。会員の健康効果に関する情報収集・分析や、タニタプログラムによる運動指導、会員データの分析などである。

 富山市は、内閣府の地方創生推進交付金1000万円に市からの1000万円を合わせるかたちで、年間約2000万円で乃村工藝社に事業を委託している。

 維持管理についても、乃村工藝社の負担を軽くする措置が取られている。清掃や備品、施設の維持管理などについては、テーブルやショーケースなどの店舗設備の掃除および床のモップがけなどは各店舗が行うとして、大きなガラス面の清掃などの館全体の定期清掃は、総合体育館を運営・維持管理する市の体育協会が年1回行っている。また、TTSとしての施錠は各店舗の運営者によって行われるが、新設した公園側の入り口の自動警報のセキュリティと見回りは総合体育館の管轄という線引きがなされている。

 TTSの運営面については、市の評価は高いが、課題もある。カフェ、スポーツショップ、交流スペースの利用者は、中高年が中心であることだ。

 中林係長は言う。「今後は、忙しくてスポーツに取り組めない世代をもっと取り込みたい。乃村工藝社にも、若い世代も入りやすい雰囲気作りや営業手法で経営してほしいと話しています」。

 富山市は、人口減少、超高齢化、中心市街地の魅力喪失、平均寿命と健康寿命の乖離などの行政課題に対して、「コンパクトシティ」の積極的な推進で取り組んでいる。TTSは、中心市街地の魅力の再発見と健康寿命の増進対策として市が新たに打ち出した「タウントレッキング」の拠点として機能することが期待されている。

 「タウントレッキングの拠点があることで、継続的に歩いたりデータをチェックしたりといった、健康向上に対する市民の取り組みの習慣化に寄与する。歩くことに興味を持った人と出会い、集まり、情報交換する。そんな人と人とのつながりによって、大きな活動になる可能性はあると思います」と山口課長代理は自信をのぞかせる。