インパクトのある特設サイトを手掛けたのは区外の事業者

 特設サイトを「サブス区」などの言葉づくりも含めて手掛けたのは、東京・世田谷区の広告会社ENJIN TOKYO (エンジン トウキョウ)。区外の事業者であるがゆえにこれまでになくインパクトがあるデザインができたという。

 吉田氏は、「墨田区で起業したスタートアップの方でも墨田区は東京スカイツリーがある場所ぐらいのイメージで、製造業が2000社あることを知らなかったことがありますが、それを踏まえて墨田区が“産業のまち”ということを知らない人たちに向けて、これまでにはないセンスで発信してもらうことができた」と評価する。

 宮里氏も「これまで墨田区と深い関係がある事業者ではなかったからこそ、これまでと違う、墨田区のことを知らない人にも伝わるサイトができた」という。

 伝統と革新の融合というテーマに沿って凝ったところもある。特設サイトでも特に目立つ「提灯」のキービジュアルについてはポスターも制作したが、その原画を版画にした。「区内の事業者が版画をレーザーカッターで彫り、刷った版画を拡大したものをポスターに展開した」(宮里氏)。

 行政サービスや拠点のロゴはスイス人のデザイナーが墨田区の事業やその協力会社についての説明をもとに制作した。レーザーカッターで版画を刷ったときにインクがきちんとのるように、ロゴのデザインも都度見直しをするなど、こだわった。

ポスターの制作に利用した版画(撮影:柳生貴也)
ポスターの制作に利用した版画(撮影:柳生貴也)
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サイト開設を延期するも第2弾・第3弾と続ける

 「サブス区」プロジェクトは令和元年度(2019年度)に始まり、2021年度も継続中だ。2019年度は戦略設計から特設サイトや版画ポスターなどの企画制作、およびPR活動で700万円(2019年度)をかけた。ただし、コロナ禍で特設サイトの2019年度内オープンを2020年9月に延期している。

 「新型コロナウイルス感染症は2020年2月には世界的な流行になっていた。区役所もコロナ関連融資など、新型コロナウイルス対策に集中した。その後、コロナ禍においても新たなビジネスに挑戦する人を応援するため、9月に“サブス区”プロジェクトを開始した」(吉田氏)

 2020年度は第2弾として、3月24日から経営支援課内に「人情サブス区係」という名称で専用窓口を新設。700万円(2020年度)をかけて窓口開設に関するPR活動やPR用印刷物・グッズなどの企画制作、および特設サイト改修を行った。グッズとしては、人情サブス区係の担当者が利用する独自デザインの法被(ハッピ)や専用名刺、「ヤクニン・ダッシュ」をイメージするピンバッチなどをつくっている。

専用窓口に設置する飛沫防止パネルや独自デザインの法被(ハッピ)(撮影:柳生貴也)
専用窓口に設置する飛沫防止パネルや独自デザインの法被(ハッピ)(撮影:柳生貴也)
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 2021年度は第3弾として、「サブス区小学生スタートアッププロジェクト(仮称)」に取り組む予定だ。小学生が、情報経営イノベーション専門職大学(iU)の大学生のサポートを受けながら、起業を目指すプログラム。小学生が実際に起業するまでのプロセスを記録して、サブス区の特設サイトで発信する。これにより区内外における起業の機運を一段と盛り上げるのが狙いという。

 「“サブス区”プロジェクトを一つでも多くの事業者が墨田区に来るきっかけにするとともに、既存の区内事業者をこれまで以上に力強く支援していきたい」と岩本課長は意気込みを語る。