イベントがきっかけで市内企業のネオンに受注20件

 WeWorkで市が開催したイベントがきっかけで、新規顧客を獲得したのは、ネオン照明やLED照明を使った看板や館内サインのデザイン・施工を手掛けるアオイネオン(静岡市)だ。

 藤澤氏によれば、従前のネオン照明の事業環境は厳しいものだったという。「ネオン照明は、LED照明に代替されることが多く、市場が縮小している。アオイネオンとしては創業事業であるネオン照明を盛り立てたいという思いがあり、産業からアートへの転換を進めているところだった」。

 そこで2019年5月、東京・池袋のWeWorkメトロポリタンプラザビルで静岡市がイベントを開き、アオイネオンのリブランディングについて紹介。事前にWeWork入居メンバーに呼びかけて募集した「卓上に置きたいネオンアート」のデザインコンテストも行った。このイベントの写真を、WeWorkメンバーが専用SNSに多く投稿したことで、イベントに直接参加しなかったメンバーにも情報やビジュアルが広まった。

 WeWorkのデザインチームもこの投稿群に注目し、WeWorkが提供するワークスペースの内装に同社のネオン照明が採用されることとなった。現在は5つの拠点で採用され、2拠点で施工済みだ。WeWorkは採用の理由について「アオイネオンのネオンアートは1点1点が職人の手作りで、LEDでは再現できない発色も可能。こうした地方のアーティストのデザインを取り入れることで、日本各地の文化や良さを感じられるワークスペースになればと考えた」と説明する。

WeWork リンクスクエア新宿の内装に取り入れられたアオイネオンのネオン照明(写真:2点ともWeWork Japan)
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WeWork神田スクエアにも採用され、施工済み(写真:静岡市)
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 その後、WeWorkメンバーの勤務先や経営する企業、関連の店舗などでもアオイネオンのネオンが採用され、WeWorkを含め、合計20数件の受注に至った。この反響を受けて、アオイネオンは自社でWeWorkメンバーとなり、首都圏のニーズに応えようとしている。

 福地氏はこうした事例から、「東京の感度のいい企業は『ネオン管は古くさい』という固定観念の一歩先を行く。このように、東京に持ち込むとこちらが想像した以上に花開く産業もあると気づいた」とし、首都圏への地元企業PRの有効性を再認識したという。