空き家と空き地を利活用

 輪島市は06年に約3万人だった人口が16年時点では約2万8000人に減少。高齢化率も高い。石川県の調査によると、15年10月時点で全人口に占める65歳以上の人口比率は43.3%。全国平均の26.6%を大きく上回る。

 中心市街地の空洞化も深刻だ。07年に発生した能登半島地震では1500棟以上の住宅が全半壊。輪島市交流政策部企画課の田中義則課長補佐は、「能登半島地震以降、空き家が目立つようになった」と話す。

 人口減や空洞化に対する市の危機感は強く、内閣府が地方再生プランを支援する「生涯活躍のまち」事業に名乗りを上げ、先進自治体に選ばれた。この時に市が白羽の矢を立てたのが、08年ごろから福祉を軸に面的な街づくりを仕掛けていた佛子園だ。それまでの実績を評価して、市は「生涯活躍のまち」の事業主として佛子園を選んだ。

 田中課長補佐は、「空き地や空き家などのストックを活用し、多世代交流を図る佛子園の手法が輪島市の再生に有効と考えた」と話す。輪島カブーレは、そこで採択された事業コンセプトに基づいて計画を進めている。

 田中課長補佐が話すように、輪島カブーレでは計画中の7施設はすべて、空き地や空き家を利活用している〔写真1、2〕。

〔写真1〕空き地に温浴施設を
温浴施設の建設現場。敷地奥に温泉をボーリングするやぐらが見える。事業主である社会福祉法人の佛子園は、日本型CCRC(継続介護付きリタイアメント・コミュニティ)のモデルプロジェクトとして知られる「シェア金沢」などでも温浴施設を整備した(写真:五井建築研究所)
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〔写真2〕空き家をショートステイに
空き家を活用し、改修工事を進めている短期入所施設(ショートステイ)。福祉施設と、温浴施設や飲食店などを「ごちゃ混ぜ」に整備している(左の写真:日経アーキテクチュア、右の写真:五井建築研究所)
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 しかし、空き家や空き地の取得に苦労した。佛子園の清水理事は、「空き家同然に見えるのに、所有者が市外の友人に無料で貸していることもあった」と言う。

 住宅地の中に建設することから、近隣住民からの反対にもあった。10人のスタッフが代替地を探し、近隣住民への説明会を開くなどして、1年がかりで計画用地や建物の取得にこぎ着けた。

この記事は「日経日経アーキテクチュア」2017年4月27日号の記事の一部を転載したものです。
全文は「日経アーキテクチュア・ウェブサイト」でご覧いただけます。