「Beyond Health」2019年5月16日付の記事より

“誰もが健康になれるまち”を目指し、「健康創造都市KOBE」を推進している神戸市。その施策の一つとして、市民の健康状態を見える化するためのシステム「MY CONDITION KOBE」を構築、2019年4月に本格稼働を始めた。いわゆる、市民向けPHR(Personal Health Record)とも言える同システムについて追った。

個人のデータと市保有のデータをアプリで管理

 MY CONDITION KOBEは、利用登録した市民が自身の運動や食事などの生活データと、市が保有する各種健診結果をまとめて利用者自らが管理できるようにしたものだ。スマートフォン向け専用アプリを用いて管理する。

MY CONDITION KOBEの概念図(図:神戸市の資料を基にBeyond Healthが作成)
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 利用者が登録する自らの情報としては、歩数、栄養情報、血圧/脈拍/体重/体脂肪率、睡眠などがある。現時点では手入力が必要な情報もあるが、今後、他システムなどとデータをやり取りするAPI(Application Programming interface)連携などで、入力の自動化を図っていく考え。「市民は何もしなくてもライフログが収集できるようにしていきたい。お薬手帳のデータは、今年中に自動入力できるようにする」(神戸市 保健福祉局 健康部健康政策課 健康創造担当課長で行政医師の三木竜介氏)。

健診結果や日々の生活データをスマホで管理し、健康状態の見える化を実現する(出所:神戸市)
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 一方、利用者本人にひも付けられる市保有のデータとしては、特定健診、妊産婦健診、乳幼児健診、学校健診、がん検診、認知機能検診などの健診・検診データがある。加えて、2年前から実施しているフレイルチェックの情報、要介護認定情報も一元化する。

 なお、アプリは健康創造都市KOBEの推進会議に参画しているリンクアンドコミュニケーションの「カラダかわるNavi」を神戸市用に改修。健診情報と連結したデータベース構築は、神戸市と理化学研究所の「健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム」の協定に基づいて共同開発した。2019年度は神戸市に住民登録している国民健康保険および介護保険の被保険者、生活保護受給者を対象に利用を始める。

「健康創造都市KOBE」の推進会議に設置された3つの部会と、それぞれの取り組み(図:神戸市の資料を基にBeyond Healthが作成)
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AIで個々人に最適化したアドバイスも

 利用者は一元化されたデータを基に、人工知能(AI)を活用した“AI管理栄養士”による健康アドバイスを受けられる。メタボ対策、フレイル予防、ダイエットといった利用者の目的を設定することで、それに応じた行動変容を促す健康アドバイスが提供される。「自分の健康状態を見える化するだけでも行動変容につながる可能性はあるが、どのような行動で目標に近づけるか、個々人に最適化したアドバイスをすることで、より行動変容を促していきたい」(三木氏)という狙いである。

個々人のデータに基づいた健康アドバイス、オンライン保健指導を実施(出所:神戸市)
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 国保被保険者は、専用アプリを用いたオンライン特定保健指導も受けられるようにした。神戸市では特定健診で要指導判定になっても、実際に保健指導を受けている人は7~8%にとどまっているという。「自ら出向いて保健指導を受ける時間がなかったり、意欲が低かったりする現状をオンラインという形態で改善したい」(三木氏)。

 特定健診を受診したら50ポイントを付与するなど、ポイントや特典で楽しみながら健康になれることを重視した。加えて、地産地消を支援する「ファーマーズ・マーケット」や商店街などが主催する各種イベントに参加した場合にもポイント獲得できる。「地域とのつながり、協調行動が活発化すると健康度合いや幸福感が高まるということが先行研究で明らかになっている。外に出て誰かと交流すること自体が健康に資すると考えているので、さまざまなイベントへの参加でも健康ポイントを獲得できるようにした」(三木氏)という。

 なお、獲得した健康ポイントは、健康食品や健康グッズのクーポン、検診チケットなどの他、商店街での割引クーポンや景品抽選券などへの交換できる。