「変動率毎分1%」が接続条件

 実は、「ソフトバンク八雲ソーラーパーク」は、2013年度に経済産業省から設備認定を取得したものの、事業化には2つの壁があり、着工できない状況が続いた。電力系統と接続する条件として、北海道電力から「蓄電池の併設」と「無制限・無補償の出力抑制」を求められたからだ。

 「蓄電池の併設」は、2015年4月に北電が公表した「太陽光発電設備の出力変動緩和対策に関する技術要件」によるもの。この要件では、メガソーラー出力の変動幅を、蓄電池の充放電との合成出力で、1分間にPCS定格出力の1%以内に収める「変動率毎分1%」を求めている。系統規模が相対的に小さい北電は、大規模な太陽光と風力発電所の出力変動を緩和し、系統電力への短周期変動の影響を軽減するために、こうした条件を設定した(図4)。

図4●北海道のメガソーラーを対象にした出力変動緩和対策のイメージ
図4●北海道のメガソーラーを対象にした出力変動緩和対策のイメージ
(出所:北海道電力)
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 加えて、同発電所は、北電管内の「30日等出力制御枠」を超えて以降の接続申し込みとなったことから、「無制限・無補償の出力抑制」が系統接続の条件となった。こちらは、太陽光発電電力の出力増により需給バランスが維持できない場合、「上限なしの出力抑制」を求められる。現在道内では再エネに対する出力抑制は始まっていないが、今後、さらに再エネ導入が進んだ場合、年間30日を超える出力抑制が課される可能性がある。

 「蓄電池の併設」による初期投資の増大と、「無制限の出力抑制」による事業収益の不確実性は、プロジェクトファイナンスの組成を難しくしていた。八雲町の岩村克詔町長は、都内にあるSBエナジーの本社に何度も足を運び、「町として協力するのでなんとかメガソーラーを建設してほしい」と要望したものの、「当初は事業的に厳しい状況で色よい返事ではなかった」と振り返る。

 そうしたなかでもSBエナジーは、プロジェクトファイナンスの組成に成功し、ようやく2018年3月に着工した。その背景には、北海道における将来の出力抑制に関する評価・分析が進んできたことに加え、太陽光パネルや蓄電池の価格が下がってきたことが大きい。

 加えて、蓄電池の容量を相対的に小さくできたこともある。通常、「変動率毎分1%」の達成では、PCS出力の8割程度の蓄電池出力(kW)が目安とされるが、「ソフトバンク八雲ソーラーパーク」の場合、75MWのメガソーラーのPCS出力に対し、蓄電池の出力は52.5kWと7割で済んだ。それが可能になったのは、メガソーラーと蓄電池のPCSが同じTMEIC製で、メガソーラー出力と蓄電池の充放電を統合制御する「TMBCS(TMEIC蓄電池コントロールシステム)」を採用したことも貢献した(図5)。

図5●TMEIC製「TMBCS(TMEIC蓄電池コントロールシステム)」を採用し、メガソーラー出力と蓄電池の充放電を統合制御
図5●TMEIC製「TMBCS(TMEIC蓄電池コントロールシステム)」を採用し、メガソーラー出力と蓄電池の充放電を統合制御
(出所:日経BP)
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