宮崎県都城市で経営破たんした地元資本の商業施設が2018年4月、カフェを備えたおしゃれな図書館に生まれ変わった。その集客力は、図書館が入居する複合施設「Mallmall」全体で年間約200万人。施設全体では。中心市街地活性化の目玉としてイベント広場や子育て支援施設などと一体的に整備され、相乗効果を発揮する。好調さの裏には、集客力アップに向けた公民連携の工夫と苦労がある。

中心市街地中核施設「Mallmall(まるまる)」の新築建物。1階部分はガラス張りのオープンなつくり。左奥に見えているのが、図書館を核とする施設に転用された既存建物(写真:茂木俊輔)
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 予想外の集客力――。宮崎県都城市の中心部に2018年4月に移転してきた市立図書館の反響には、市の担当者さえも舌を巻く。計画時点の来館者見込みは、移転前の1.5倍に相当する年間27万人。ところがふたを開けたら、2018年度1年間で110万人を超えた。

 市立図書館でありながら、来館者は隣の宮崎市や県境を越えた鹿児島県霧島市からも訪れる。市外からの来館者が多く、貸出サービスの利用を望む声も上がったことから、市は2018年6月、市内在住・在勤・在学という対象者の枠を取り払った。

 この図書館が入居する複合施設が、中心市街地中核施設「Mallmall(まるまる)」だ。図書館を核とする施設は、既存建物を利用(破綻した地元デパートを改修)したことで話題となった。そのほか、子育て支援施設や保健センターなど4施設が入る新築建物、収容台数218台の既存駐車場棟、これら3つの建物で構成される。保健センターを除く7施設は全て、民間事業者や社会福祉法人の指定管理で運営・管理が行われている。図書館を含め、Mallmallには年間延べ約200万人が訪れている(※)。

※ 2018年4月28日にオープンしたMallmallは、19年4月28日、つまり1年と1日で延べ来場者数200万人を突破した。
中心市街地中核施設「Mallmall(まるまる)」は、図中に赤字で記された施設が入る建物3棟と「まちなか広場」で構成される。隣接する街区には、市が約15年前に整備した「ウエルネス交流プラザ(交流プラザ)」やその駐車場棟にあたる「ウエルネスパーキング」が立地する。交流プラザは293席のホールや200人前後収容のギャラリーなどを備えた市民交流施設だ(資料提供:都城市)
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●中心市街地中核施設「Mallmall」の施設構成
※1:構成企業は2019年4月現在、マナビノタネとヴィアックス。1階のカフェは行政財産の目的外使用許可を得て運営している。
※2:「未来創造ステーション」は、市民交流の活性化と産学官金連携や創業支援を推進する施設。セミナー室、会議室、コワーキングスペースなどを貸し出す。
※3:「まちなか交流センター」は、多世代の活動や市民の多様な交流活動を推進する施設。最大100人収容の多目的室や「まちなかキッチン」などを貸し出す。
※4:指定管理料(初年度、精算後)は、図書館約2億1900万円、未来創造ステーション・中核施設附帯駐車場・まちなか交流センター・中央バス待合所・まちなか広場約2億800万円、子育て世代活動支援センター約4900万円。
(資料:取材を基に作成)
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 特徴的なのは、図書館の来館者層だ。ここで存在感を放つのは、地元の中高生や乳幼児連れの女性という。市の中心部にそうした層が戻ってきた、と変化を喜ぶ声も聞かれる。

 市教育委員会生涯学習課副主幹の鳥取竜一郎氏は、これまではJR都城駅前にあるイオンモールのフードコートで自習していた中高生が移ってきたのではないかとみる。「図書館は居心地がいいと口コミで伝わり、中高生の来館者が増えてきた」。

 図書館の近くには子育て支援施設や保健センターも同時に移転してきた。移転前はばらばらに立地していたこれらの施設が中心部の1カ所にまとまったことで、乳幼児を抱える保護者はそれぞれの施設に立ち寄りやすくなった。

 集客力の高さの秘密は、一つにはこうした相乗効果にある。2018年4月にオープンした施設の全体像を、ここで整理しておこう。