経営破たんした商業施設を図書館に転用

 市がMallmallを整備した狙いは、中心市街地の活性化にある。

 この一帯は、古くは都城の商業の中心地だった。最盛期には、エリアを南北に貫く国道沿いに3つの大型商業施設が立地していた。しかし1990年代以降、業態転換や経営破たんにより、地元資本のデパート「都城大丸」だけが残されることになった。

 2000年代に入ると、都城大丸の運営会社はその裏手に若年層の呼び戻しを狙って「都城大丸センターモール」とその駐車場棟を開業する。中心市街地の衰退に危機感を強めた市も、「ウエルネス交流プラザ(交流プラザ:293席のホールや200人前後収容のギャラリーなどで構成)」とその駐車場棟を整備。活性化の兆しも見え始めていた。

 ところがその後、都城大丸の運営会社はセンターモールを閉店し、デパートへの一本化を図ったものの経営破たんに陥る。それらの土地・建物は2013年3月、都城商工会議所会員企業で立ち上げた受け皿会社が取得するに至った。

 Mallmallは、市がこのデパートの跡地とセンターモールの土地・建物を受け皿会社から譲り受け、整備したものだ。総事業費は約65億円。社会資本整備総合交付金や償還金の70%を国が負担する合併特例債を活用し、市の持ち出しは約3分の1にとどめた。年間の指定管理料は初年度で約4億7600万円(Mallmallの施設総計)だ。

 国道に面したデパート跡地に建設したのが、子育て支援施設や保健センターなど4施設が入る新築建物。センターモールに用いていた既存建物はリノベーション工事を施し、図書館を核とする施設に転用した。駐車場棟も改修しMallmallの駐車場として活用する。新築建物と既存建物の間には屋根付きの「まちなか広場」約600m2を整備した。

リノベーション工事を施す前の都城大丸センターモール。道路をはさんで向かいに立地していたデパートも開業と同時期に改装し、てこ入れを図ったが、閉店に追い込まれた(資料提供:都城市)
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都城大丸センターモールにリノベーション工事を施し、図書館を核とする施設に転用した。外装ががらりと変わり、かつての面影はない(写真:茂木俊輔)
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図書館の内部。センターモール時代にエスカレーターが設置されていた吹き抜けには階段を設置した。座席数は500以上、所蔵資料は約30万冊を数える(写真:茂木俊輔)
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図書館を核とする施設側から見たまちなか広場。その上から手前の道路の上にまで屋根が架かっているため、正面の新築建物との間も雨に濡れずに行き来できる(写真:茂木俊輔)
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 これら異なる用途の施設が相乗効果を生むことが、図書館だけでなく施設全体への集客の原動力になっている。

 市では計画時点から、各施設の相乗効果の発揮を意識してきた。一つには、施設間の回遊性を高める建築上の工夫に表れる。市商工観光部商工政策課中心市街地活性化室副課長の久保尚裕氏は「ベビーカーと一緒でも雨に濡れずに回遊できるつくり」とそのコンセプトを言い表す。

 既存建物は1階部分だけ外壁をセットバックさせ、2階部分を屋根代わりにその周囲を巡ることができるつくりに改めた。また、道路をはさんで向かい合う駐車場棟の間には横断歩道上に屋根を架けた。Mallmall内であれば、雨天でも傘をささずに回遊できる。

雨に濡れずに回遊できるようにする工夫の一つ。既存建物の外周に回廊のような空間を新しく生み出した(写真:茂木俊輔)
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