空間の質向上へ備品調達を民間に委託

 都城市が発注した「図書館備品調達等業務」とは、館内で用いる家具・備品のデザインやレイアウトを提案し、それらを調達する業務のことを指す。民間事業者はこの業務を、別に選定された改修設計者が行う既存建物の改修設計と並行して進める。

 指定管理業務やカフェ運営業務と一体で発注するのは、運営段階の世界観を統一する狙いからだ。どのようなコンセプトで館内を構成し、それをどう空間に落とし込み、運営に生かしていくか――そこに、一貫性を持たせる発想だ。既存建物を活用する案件は、内部空間を建築と切り離し、むしろ運営と一体のものとして提案しやすいため、こうした発注方式になじみやすいとも言える。

 これによって、施設コンセプトに見合う家具・備品を、予算の範囲内であれば調達できる。「公共調達では、デザインの良いものを選んだとしても、競争入札を前提にするとそれを実際に入手できるかという問題が残る。しかし民間調達なら、今回のように良いものを確実に入手できる」――。民間事業者に委託する良さを市の鳥取氏はこう説明する。

●三位一体の発注方式での契約・協定・許可の仕組み
市は公募プロポーザル方式で選定した事業者(コンソーシアム)との間で基本契約を交わし、その後、基本契約に基づき、図書館備品調達等業務委託契約の締結、指定管理者の指定、カフェ運営業務に関する行政財産の目的外使用許可を行う。なお指定管理業務の対象施設には、Mallmallの図書館本館だけでなく同じ市内の高城図書館も含まれている(資料:「都城市立図書館整備・管理運営等事業事業者募集要項」)
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 3つの業務の発注先は公募型プロポーザル方式で全国から募った。公募プロポーザルに応じた民間事業者3グループから市が優先交渉権者として選定し、最終的に契約に至ったのは、マナビノタネ(長野県御代田町)を代表企業とするMALコンソーシアムである。構成団体には、コクヨマーケティング(東京都千代田区)とヴィアックスの2社が名を連ねる。

 MALコンソーシアムの提案内容は、図書館に転用する建物がもともと商業施設だったことを念頭に置いたもの。備品のデザインに関しては「歩いて楽しいストリート、見つけて選ぶマーケット」をコンセプトに掲げた。

 評価は、市が発注する3つの業務に関して総合的に下された。市が設置した選定委員会による審査の配点は、「全体・事業コンセプトに関する事項」50点、「図書館備品調達等業務に関する事項」150点、「図書館運営業務(指定管理業務)に関する事項」250点、「カフェ運営業務に関する事項」50点と定められた。配点が最も高いのは、運営業務である。

 ただ備品調達等業務の配点も、決して低くない。MALコンソーシアムと次点のグループとの間で点差が開いたのはむしろ、備品調達等業務。とりわけ「開架エリアの家具デザイン計画」への評価には、審査項目の中で最大の差が生じた。

 一方、居心地の良い場づくりには空間だけでなく運営も重要だ。最近話題の図書館がそうであるように、Mallmallの図書館でもごく普通の会話程度なら許容され、ふた付きの容器に入った飲み物なら持ち込み可能だ。静寂や集中を求める昔ながらの図書館とは異なる時間を過ごせることが、来館者に支持されていることは間違いない。